「情熱」と「忍耐」——偶然に導かれ、異国の地で出会ったクリエイターチームのこれまでとこれから |Slacker Games ジェイク&フィリップ

  • 2021/05/14

今回お話を伺う会員様はジェイクとフィリップです。ジェイクが2016年に設立した会社「Slacker Games」が現在取り組んでいるのは、有名なプラットフォームOculus*を介したバーチャルリアリティ体験の製作です。ジェイクはSlacker Gamesのディレクター、フィリップはソフトウェアエンジニアとして働いています。ジェイクはイギリスから日本に移住したのち2019年co-bashibuyaに入居、2020年の初めにフィリップがチームに加わりました。* Oculus:VRヘッドセットブランド*

co-ba shiuya卒業生インタビュー

ジェイク&フィリップ

 

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今回お話を伺う会員様はジェイクとフィリップです。ジェイクが2016年に設立した会社「Slacker Games」が現在取り組んでいるのは、有名なプラットフォームOculus*を介したバーチャルリアリティ体験の製作です。ジェイクはSlacker Gamesのディレクター、フィリップはソフトウェアエンジニアとして働いています。ジェイクはイギリスから日本に移住したのち2019年co-bashibuyaに入居、2020年の初めにフィリップがチームに加わりました。

 

* Oculus:VRヘッドセットブランド*

 

——自己紹介をお願いします。

ジェイク:こんにちは、ジェイク・スラックです

Slacker appsとSlacker gamesのディレクターです。ソフトウェアのエンジニアリングと開発に携わっています。サセックス大学でコンピューターサイエンスを学び、日本に移住する前はソフトウェア開発者としてAnimazooというモーションキャプチャー会社(アニメスタジオ)で働いていました。

 

フィリップ:フィリップ・ボーキャンプです。専門は数学で、ドイツで数学を学びました。東京に来る前に京都大学の外国語・コミュニケーション学部で勉強して、その後早稲田大学で修士号を取得しました。

今はソフトウェアエンジニアとしてジェイクと一緒に仕事をしています。

 

——二人はどうやって会ったんですか?

ジェイク:たまたま、シェアハウスで。僕がちょうど引っ越してきたとき、フィリップは引っ越そうとしていました。ラウンジで会っていろんなことを話すようになって、お互いのことを良く知るようになっていきました。パーティーや集会ではさらにいろんなことを話し合いました。良い友人になった後、Slacker gamesで働いてくれる人を探しているという話をフィリップにしました。

 

フィリップ:僕は本当にVRに夢中でした、でもそれは趣味としてです。数学のおかげでゲーム業界に入ることになるなんて夢にも思ってもいませんでした。あるときジェイクが、co-baで僕と働かないかと誘ってくれたんです。それが2019年の終わりか2020年の初め頃です。

 

——お気に入りのゲームをいくつか教えてください。

ジェイク:ストリートファイター2は、最初のお気に入りのゲームの1つでした。ただただ楽しくてプレイしていました。10代の頃はファイナルファンタジー7にハマりました。それとサイレントヒルには心理的に大きな影響を受けました。少し怖いんだけど、ほんとにユニークな物語なんです。ストーリー主導のシングルプレイヤーゲームがすごく面白いと思ったんです。

 

フィリップ:初めた頃はゲームボーイが好きで、マリオとゼルダをやってました。それからオンラインゲーム、特にRTS(リアルタイム戦略ゲーム)にハマりました。ロードオブザリングとスタークラフトが好きで、10年近くプレイしました。Steam っていうPC用のオンラインゲームショップを良く使っていました。

——Slacker gamesってどんな会社なんですか?

ジェイク:Slacker gamesは、PrivateEye と呼んでいるVRゲームの開発のために、僕が始めた会社です。PrivateEyeをリリースするためだけの会社です。基本的には週末と空いている時間を使って作業をしていました。重要だったのは、Oculusのためのキックスターターとして「virtual slice」と呼ばれる10分のデモを作成することです。ストーリー主導のバーチャルリアリティ体験を作ることを目指していました。

 

——Slacker Gamesを立ち上げたのはいつ頃ですか?

ジェイク:2015年から2016年頃ですが、2013年頃に個人的なプロジェクトとしてPrivateEyeに取り組み始めました。僕は自分がゲーム開発者だとは全く思っていなくて、むしろソフトウェア開発者だと思っていました。

まずVRゲームを開発するためのOculusのVRジャムコンペに参加したんです。PrivateEyeという5分間のデモを作成しました。これは近所の人をスパイして遊ぶゲームで、Oculusもすごく気に入ってくれて、コンペでトップ5に入ることができました。このことで、みんなが楽しめるエキサイティングなものを作ることに喜びを感じ、続けていくためのインスピレーションを得ることができました。

 

——PrivateEyeについてもう少し詳しく教えてください。

フィリップ:PrivateEyeは何年にもわたる試行錯誤を経てできたゲームです。基本的には映画とゲームの間のような、ストーリー主導のバーチャル体験です。あなたはパートナーと一緒に探偵としてサムサザーランドという男の役を体験します。ゲーム全体はたった一晩の出来事です。これはファンタジーではなく、実際に1950年代にアメリカで起きた出来事を元にしています。探偵として、あなたはある事件を解決するための手がかりを探しています。目指したのは、これが現実の世界で起こり得ることであるとプレイヤーに感じさせることです。ストーリー主導のゲームの中で、あなたが選択をして、その選択が重要な結果をもたらす。誰もが楽しめるゲームだと思います。

 

ジェイク:生き生きとした世界の中で、物語があなたの目の前で起こります。これは本当に面白いです。 VRでは、あなたはゲームの中に存在しています。ゲームの中の人々はあなたが何をするのか待っています。

 

フィリップ:ゲーム全体は対話的なカットシーンのようなもので、線形です。キャラクターに働きかけたり、話したり他にもいろんなことができます。映画のように常に何かが起こっているので、それが面白いものになっています。

 

——Slacker Gamesの最終目標はなんですか?

ジェイク&フィリップ:PrivateEyeを終えること!

ジェイク:うまくいけば来年の春までに、ただそれはすべてPrivateEyeの成功にかかっていますが。理想的には、自分たちのオフィスが欲しい。何人かフルタイムのメンバーを雇ってチームを少し拡大したいです。どんなゲームをSlacker gamesとしてリリースするべきか、新しいタイトルやゲームがリリースされたときに人々がどんなことを期待できるかなど、PrivateEyeの先の野心があります。でも今はPrivateEyeを作ることに焦点を当てています。リリース後は、さまざまなプラットフォームでもPrivateEyeをリリースしたいと思っています。

——お二人はドイツとイギリスで育ちましたが、なぜ日本を選んだんですか?

ジェイク:僕はクオーターなんです。学校時代は日本人の子供として知られていました。First of Fury(ドラゴン怒りの鉄拳)やAkiraのようなアニメを見て育ちました。僕はいつもオルタナティブなものが好きで、日本文化は主流とは少し違うので本当に好きでした。Animazooにいた時、仕事で1週間北海道に出張したんですが、それまでは日本に引っ越すことを真剣に考えていませんでした。でもその時の経験が本当に素晴らしくて、日本に引っ越すきっかけになりました。当時30歳になったばかりで、日本に行きたいという気持ちを強く持ちました。

 

フィリップ:僕の場合は、テレビでドラゴンボールを見るのが好きだったということ以外に、日本との深いつながりがなかったので、本当に偶然です。たまたま交換留学プログラムに参加する機会があったんです。アジアに興味があって、韓国に行く友達が何人かいたのと韓国料理が好きだったので韓国に行くつもりでした。でも韓国の締め切りを逃してしまって、日本の京都に応募することにしました。京都に引っ越して、僕にぴったりの場所だとすぐにわかりました。5ヶ月の留学の予定でしたが、結局もう1年延長したいと思いました。日本語を学びながら早稲田大学に入学し、日本に住み続けることに決めました。

 

——co-baの職場環境はどうですか?

ジェイク:働きやすいです。本当に必要なものがすべて揃っているように思います。インターネットは快適だし、働くスペースも十分あります。楽しい場所だし、効率的に働くために僕が必要だと思うものが揃っています。スタッフとのつながりをたしかに感じられます。僕はこういうコミュニティスタイルのコワーキングオフィスが好きなようです。

 

フィリップ:ここは僕にとって初めてのシェアオフィスですが、まったくジェイクが言う通りです。もっと多くのイベントがあったらいいのにと思いますが、コロナのせいで残念です。コロナが少し落ち着いて、ようやく活気が戻ってきたように思います。だから来月卒業するのは少し寂しいです。でもとにかく、僕は周りの人と会話したりコラボレーションしたりするのが好きなので、co-baはその点で素晴​​らしいです。

 

——他のワークスペースと比較してco-baにいることの利点はありますか?

ジェイク:co-baはある種の専門家にとって魅力的だと思います。クリエイティブまたはテクノロジーの分野で働く人たち。また、ここには業種を超えた仕事の機会があります。これはスタートアップ企業にとって非常に有効です。

 

——日本(co-ba)で働くことと母国で働くことの違いは何ですか?

ジェイク:ここにはどことなく西洋的な雰囲気があると思います。みんなが地面に寝転んでのんびり落ち着いているような感じです。僕は、とても静かな伝統的な日本の企業の雰囲気よりも、西洋的な社会の雰囲気の方が好きです。

 

——自分のビジネスを始めたい人、またはゲームを作りたい人へのアドバイスをお願いします。

フィリップ:心底ゲームを作るのが好きじゃないといけないですね。それから相当な忍耐が必要です。

ジェイク:ゲームに限らず何でもそうですね。やろうとしていることに情熱を持っている必要があります。困難が訪れた時、それを乗り越えるために情熱が必要になります。

フィリップ:ものすごい情熱があるか、とても辛抱強いか、そのどちらかが必要だと思います。両方あれば最高なのは当然ですが、どちらかがあれば本当に助けになります。自分で何かを作るなら、この2つのうちの1つは必要だと思います。

 

——ジェイクとフィリップはco-ba shibuyaの大切な仲間です。卒業してもお二人と共有した時間はきっと忘れません。 Slacker Gamesの今後の活躍を期待しています。 ジェイク、フィリップ、素敵なお話を共有してくれてありがとうございました。

 

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