【ハッカソンレポート】コーヒーとコワーキングが人と人との交わりを生む

  • 2018/03/28

ネスレ日本×co-baの『Community TECH Hackathon』

黙々と作業をこなすだけでなく、多様な人々が刺激し合い、アイディアを生み出す“ワーキングコミュニティ”をつくりたい。

2011年にオープンした『co-ba』には、こんな想いが込められました。渋谷に1号店『co-ba shibuya』がオープンして以来、『co-ba』の拠点は全国に広がり、人々のあらゆるチャレンジを応援するネットワークが着実に形づくられています。

挑戦し続ける会員を支えるコミュニティを育てていく上で、アプリやAI、ロボットなどテクノロジーは大きな役割を果たしてきました。『co-ba』ではコミュニティ領域におけるテクノロジー活用を「COMMUNITY TECH」=「コミュテック」と呼び、昨年より「コワーキングスペース」と「コミュニティ」をテーマにしたハッカソン『Community TECH Hackathon』を開催しています。

2018年2月17日には第2回が『co-ba shibuya』で開催されました。『ネスレ日本株式会社』とコラボレーションによる今回のテーマは「『co-ba』をネスカフェ ゴールドブレンド バリスタでハックしよう!」です。

“ソーシャルな飲み物”でコミュニティをハックする

ネスレの開発する最新コーヒーマシン「ネスカフェ ゴールドブレンド バリスタi [アイ]」(以下、バリスタ アイ)」を使い、『co-ba』の持つワーキングコミュニティを進化させるアイディアを参加者たちが競い合いました。

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ハッカソンの冒頭では『ネスレ日本株式会社』の小原千佳子さんが、今回のハッカソンの趣旨について共有。

一見、コミュニティと直接的に関わりのないように思えるコーヒですが、ネスレ日本ではコーヒーを“ソーシャルな飲み物”と定義。一杯のコーヒーから生まれる人と人の繋がりを重視してきたそうです。

小原「私たちが目指すのはただ美味しいコーヒーを提供するだけではありません。家庭や職場でコーヒーを起点に豊かなコミュニケーションを生み出したいと思っています」

ネスレ自身もコーヒーの体験とテクノロジーを組み合わせた実践を行っています。例えば、最近ネスレは「バリスタ アイ」でコーヒーを作ると家族や友人に通知を送るコミュニケーションアプリなども開発しています。

「どんなワクワクを届けるアイディアが出てくるか楽しみにしています」と、小原さんは参加者に向けて熱いエールを述べました。

今回のハッカソンのファシリテーションを務めるのは、ハッカソンの企画・運営を行う『JELLYWARE』の崔 熙元さん。「バリスタ アイの機能を強化するよりも、バリスタ アイを通じた新たなコミュニケーションが生まれるアイディアを深めてほしい」とアドバイスを送ります。

崔さんから共有された、今回のハッカソンの主なテーマは以下の3つです。

・同じ場所で働くco-ba会員同士の日常のコミュニケーションを活性化する
・co-ba会員に全国のco-baを身近に感じてもらい、つながりを強化する
・co-ba会員が仕事の効率を上げられるブレイクタイムの機会をつくる

参加者たちは、どれかのテーマに当てはまるサービスのアイディアを練ります。

個人ワークとブレストでアイディアの種を探す

A4用紙のみを使って高い塔をつくるペーパータワーゲームでアイスブレイクを行ったあとは、テーブル毎に課題に関して思いついた考えを共有するブレストを進めて行きました。その後、個人ワークの時間に。一人一人がアイディアをシートに記入していきます。アイディアの概要やメリット、何が実現できるのかなど、具体的に文章や図を用いて自由に表現していました。

全員がアイディアシートを完成させた後は、チーム分けを行うために全員で投票を実施。会場内に全員のアイディアシートを貼りつけ、気になったアイディアにシールで票を入れていきます。

コーヒーを淹れる待ち時間にコミュニケーションを促すアプリや、タスクの達成度に応じてコーヒーが送られるサービス、疲れた同僚のコーヒーを送るサービスなど、幅広いアイディアが挙がっていました。

投票の結果予想以上の票が割れていたため、希望者を5人募ってピッチを実施。自らのアイディアについて3分程度で説明していきます。

最終発表に向けてチームごとの開発がスタート

ピッチを終えた後は、5つのアイディア毎に3人以上のチームを結成し、最終発表に向けて開発に取りかかります。

チームはそれぞれのアイディアを形にするために、模造紙やホワイトボードだけでなく、テーブルにあるバリスタ アイ、電子工作用の部品や、それらを制御するIoT用の小型PCを自由に使用できます。

最初はテーブルに置かれたコーヒーやキットカットを味わいながら、和気藹々と議論をしているチームもいましたが、最終プレゼンの時間が迫るにつれて徐々に会場全体に緊張感が漂っていきます。

各チームとも時間ギリギリまでプロトタイプのブラッシュアップや発表の準備に取り組んでいました。

コーヒー×コミュニティから生まれるた5つのアイディア

発表では各チームがパワーポイントの資料や寸劇、デモンストレーションなどを交えて発表を行います。審査員は『株式会社ネスレ日本』の飲料事業本部レギュラーソリュブルコーヒービジネス部部長の島川基さん、Eコマース本部EC & デジタルシステム部プロダクトマネージャーのボワール ジャンセバスティアンさん、『株式会社ツクルバ』代表取締役CCO・エグゼクティブプロデューサーの中村真広と、同社のco-ba事業部でco-ba shibuyaの運営を担当する吉田めぐみです。

タスク達成度を共有してコミュニティ活性化

1チーム目の「ホットCOM」が提案するのは、タスク管理サービス「バリ達メーター&バリ達スペース」です。

『co-ba』の会員がスマートフォンからタスク管理アプリ「バリ達メーター」にタスクを入力すると、休憩スペース内の一角にある「バリ達スペース」に設置されるスクリーンにタスクの達成度が反映されるという仕組み。

「バリ達スペース」にはバリスタ アイが置かれているため、コーヒーを淹れる間にスクリーンで自身や他の利用者の達成度を確認できます。

また、達成度だけでなくタスク内容も共有することで、利用者同士が協力する機会増やすなどの多様な展開を想定しています。

「ホットCOM」チームは「偶然同じ場所にいた人同士が優しく励まし合うきっかけになれば」とサービスに込めた想いを共有してくれました。

一緒に働く人と話すきっかけを演出

2チーム目の「tsunagubaチーム」は、『co-ba』の利用者同士の会話のきっかけをつくるマッチングアプリ「tsunaguba」を提案します。

利用者がバリスタ アイでコーヒーを淹れている間に「tsunaguba」アプリを起動すると、『co-ba』で働いている利用者のうち一人が自動でレコメンドされ、興味があれば、アプリ上で「握手」を送り、利用者へ関心を持っていると伝えられるアプリです。

このアプリの目的は「いつも一緒の場所で働いているけれど話しかける機会がない」というコワーキングスペースで起こりがちな課題にフォーカスし、利用者同士の交流を促すこと。

なるべく休憩中の人を優先的に表示させるなど、声をかけやすい状況をつくるための機能についても検討を重ねたようです。「このアプリから利用者同士のコラボレーションが生まれるはず」と語りました。

学生と入居者をつなぐ「お遍路」企画

3チーム目の「チームお遍路」は、現役大学生のメンバーが抱える「自分がどのように働きたいかわからない」という就活への不安から、アイディアを膨らませていったそうです。

チームが企画するのは、学生が全国の『co-ba』をお遍路のように巡り、利用者との交流から「働く」を考えるアプリです。ユーザーは全国の『co-ba』を訪れ、各地の会員から仕事や働き方についてのヒントを得て、交流から得た学びをお遍路用のアプリで発信していきます。

co-baの会員はバリスタ アイでコーヒーを飲む間にお遍路アプリが利用でき、お遍路をしている学生たちのプロフィールやブログを閲覧し、「応援する」ボタンを押して応援します。

チームは「学生は全国の利用者と共に働き方について思考を深め、その様子をアウトプットできる機会が得られ、利用者も意欲ある学生たちと出会うことできる」と、両者にとって刺激になるプログラムである点をアピールしました。

休憩時間に入居者同士のコミュニケーションを

4チーム目の「Ballies」は、「休もうとするけれど頑張って働き続けてしまう」人をターゲットに、コーヒーブレイクを取るよう促すコミュニケーションロボット「Ballies」を提案しました。

利用者は「Ballies」をデスクに置くと、一定時間後にコーヒーブレイクを取るように通知をします。「Ballies」をバリスタ アイにセットすれば、どのコーヒーを飲むかなどメニューも音声で選択できます。

「Ballies」は、近くに他の「Ballies」を検知すると、自動で話しかけ「Ballies」同士で対話をする仕組みも備えています。「散歩中に犬同士が近づいていくことで知らない飼い主同士が交流する状況」を再現することで、持ち主同士のコミュニケーションのきっかけをつくりたかったのだそう。

チームは「遠く離れた場所にいる『Ballies』同士が通信して、co-baの利用者同士の交流を促すこともできるのでは」と展望も示しました。

(『ballies』の見た目は自由に選べるようにする予定だという)

コーヒーが紡ぐゆるやかな繋がり

5チーム目の「Coffee Drop」は遠隔地にいる利用者同士のゆるやかな繋がりを演出するアプリ「コーヒーマップ」を考案しました。「コーヒーマップ」はバリスタ アイでコーヒーを淹れると、地図が表示されて、現在地がコーヒーの色に染まるというもの。主にブラック系とラテ系の2種類に分けられています。

チームはネスレ日本の掲げる“ソーシャルな飲み物”としてのコーヒーのあり方に着目し、「コーヒーで繋がるネットワークをつくろう」と試みたそうです。

例えば深夜まで働く利用者がコーヒーを淹れた際に他の場所でも地図が染まる様子を見ると「『頑張っているのは自分だけじゃないんだ』と想いを馳せて元気になれるのでは」とチームメンバーがサービスの意義を強調しました。

審査員の心を掴んだチームは?最終審査発表!

5チームの発表が終わり、審査の時間に。審査の結果、co-ba賞とネスレ賞が贈られました。

co-ba賞を受賞したのは、タスクの達成度管理ツールを提案した「ホットCOM 」チームです。中村は受賞の決め手について「活用の幅の広さ」を指摘しました。

中村「誰が何のタスクに取り組んでいるかわかれば、コミュニティーマネージャーが協力できる人材を紹介したりといったアシストも可能になるでしょう。入居者の挑戦と密に寄り添える仕組みは、“ワーキングコミュニティ”を強化する上で欠かせません。

また、他の人のタスクにアドバイスを送るためのコメント機能や、Googleカレンダーと連携してタスクを自動表示する仕組みなど、拡張性の高さにも魅力を感じました」

同チームは半数以上が現役大学生。当日は5階の『co-ba shibuya』の入居者にもインタビューを実施したそうです。「もし事業化するチャンスがあるなら全力で取り組みたい」と、今日生み出したアイディアの実現に向けた意欲を語ってくれました。

(co-ba賞には『co-ba shibuya』の無料利用権6ヶ月分が贈られました)

ネスレ賞を受賞したのは、ブレイクタイムを教えてくれるコミュニケーションロボットを提案した「Ballies」チームです。島川さんは「選ぶのが大変でした」と前置きした上で受賞の理由を述べます。

島川さん「ネスレには『どうやってコーヒーブレイクを有意義なものにしていくのか』という大きな課題があります。日本においては『そもそもいつ休憩を取ればいいのかわからない』という方や、『ここまでやったら休憩を取る』と区切るのが苦手な方も多いようです。休憩時間を教えてくれる『Ballies』は、そうした課題の解決策として大変優れていると感じました」

作業当初は、ARアプリにする予定だったそうです。話し合うなかで「コミュニケーションを生むならARよりも実物の方が親しみやすいのでは」と考え、机におけるロボットに転換したのだそうです。

「違う職種の人とコラボレーションできるのはハッカソンの醍醐味ですね」と、達成感に満ちた笑顔を見せていました。

(ネスレ賞には「バリスタ アイ」とコーヒー1年分が贈られました)

コーヒー×コミュニティーを軸に幅広いアイディアが生まれた今回のハッカソン。“コミュニティ”と一言で言っても、互いのタスクを助け合う、休憩スペースで気軽に会話をする、アプリを通じて“他にも頑張っている人がいる”と励まし合うなど、様々な繋がりの姿が浮かび上がってきました。

今後も『co-ba』は「COMMUNITY TECH」=「コミュテック」の実験場としてハッカソンを含む多様なチャレンジの機会をつくっていきます。