DAY 38 花巻最終日に歴史を学ぶ

  • 2015/11/27

博物館で花巻の歴史を学ぶ

6日間に渡る花巻滞在もいよいよ最終日。今日は花巻家守舎の伊藤直樹さんが1日案内をしてくださいました。

昨日も書いたように、光井は城マニアです。せっかくお城があるまちに来たのに行かずに帰るなんてもったいない!ということで、伊藤さんにご相談したところ、朝から花巻市博物館に連れて行っていただきました。館内をご案内くださったのは花巻市総合文化財センターの中村良幸所長。まさかそのような方にご案内いただけるとは思わず、恐縮しながら館内へ。

花巻の地形やまちの成り立ちなどについて詳しくお話を伺いました。
・花巻は奥州街道沿いで仙台藩と盛岡藩の境界にほど近く古くから交通の要衝だった。
・古来「稗貫(ひえぬき)」と呼ばれたこの地域は「閉伊(へい=現在の岩手県沿岸部)」へ「抜ける」、つまり沿岸部へ向けての重要な交通路であった。
・弘前藩津軽氏は盛岡藩南部氏の一族で家臣だったが豊臣秀吉の時代に独立。そのせいでいろいろと苦労した旧盛岡藩領にはその因縁がいまだに残っているらしい。
・花巻城の位置が北上川に近くまちがお城と川の間に広がったことが現在のまちづくりにまで影響している。
などなど、興味深いお話をたくさん伺うことができました。

そしていよいよお目当ての花巻城!模型を見ながらお城の歴史を教えてもらいました。

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▲江戸時代末期の花巻城の模型。

花巻城は今では北上川から少し離れていますが、江戸時代に洪水対策で川の流れが変えられていて、当時は北上川を利用した実践的な要塞であったそうです。現在は本丸付近が一部残るほかは学校や武徳殿(武道場)、市役所などになっていますが、市役所の地下などには今も堀の遺構が残っているそうです。

城下町として発展した都市はお城の歴史を知ると現在につながるまちの歴史が見えてきますが、花巻も今も残る地名も多くあります。城門が近くに移築されて残っていたり、武家屋敷があった位置にその子孫が住んでおられるところがあったり。おもしろくてあっという間に時間が過ぎました。

続いて見せていただいたのが「鶴陰碑(かくいんひ)」。江戸から明治にかけての花巻出身で各界で功績のあった方の名前を記した石碑で、明治24年(1891年)につくられて花巻城三の丸跡に設置されたものです。新渡戸稲造のひいおじいさんや現在の市長のご先祖さまなど、194名の名前が刻まれています。この石碑、レプリカではなくて本物なんだそうです。雨ざらしで置いておくと劣化が心配されるため博物館に移設したものの、「やっぱりお城にある方がいい」という意見もあって結局城跡にはレプリカが置かれているそうです。

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▲花巻出身の著名人が記された鶴陰碑。

やはり郷土の歴史を知っているというのは重要ですね。何を聞いても答えていただけて花巻がもっと好きになりました。たくさんあって全部は書けないですが、「家臣のこの人は北海道大学の初代総長の先祖」とか「この苗字は青森県に多い」とか「青森県は旧弘前藩領と旧盛岡藩領とで文化が違う」とか、知的好奇心をかき立てられる内容ばかりでした。花巻市民はみんなぜひ博物館に行くべき!

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▲中村所長(左)、伊藤さん(右)と花巻市博物館にて。

花巻城へ行こう!

予想以上にハイレベルの予習をして、いよいよ花巻城へ!

現在はお城の建物は残っていませんが、400周年記念事業で西御門が復元されています。建物があるとお城っぽいですよね。私は以前はお城の建物ばかりに興味があったのですが、最近は石垣とか土塁がいいなぁと思うようになりました。歳を重ねるとこうした好みも変わるようです。

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▲復元されている西御門。

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▲お城と下を流れる川との高低差が分かるかと。

お昼ごはんはスープカレーハウス「しっぽ」へ。店長おすすめのグリルドチキンカレーを食べましたがおいしかったぁ。地元の方にこういうお店に連れてきてもらえるのがとても嬉しいです。

午後から花巻市起業化支援センターを見学させていただいて、気仙沼に向けて出発です。6日間の花巻滞在。たくさんの人に出会って、まちの歴史も学んで、だたの観光では決して味わえない貴重な体経験をさせてもらいました。お会いしたみなさんに心から感謝して、気仙沼での新たな出会いに期待を膨らませる1日でした。

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◆今日のみっちー日記◆
11/27(金)・雨ときどき曇り
・花巻のみなさんは本当に親切。突然やってきた広島人に熱心に話をしてくださってとても嬉しかった。
・まちの歴史を知るとそのまちがもっと好きになる。
・花巻市民はみんな博物館に行くべきだ。その後花巻城に行くのがおすすめ。

Profile  光井周平

1983年広島生まれ。幼少期から城好きだったことが要因で中学校卒業後に呉工業高等専門学校(呉高専)建築学科に入学。 卒業後は広島大学に編入学をして、大学院工学研究科博士課程前期、後期を経て母校である呉高専に教員となる。 専門分野は建築構造で、助教として主に木造建築に関する研究をしている。 学生とともに呉市両城の空き家再生プロジェクトに取り組み始めて以来、“場(空間)”と“そこに集う人々”が地域の活性化に どのような役割を果たすのかに関心がある。2015年10月から12月まで民間企業研修のためツクルバで活動中。