co-ba Re-SOHKO会員さんに聞く! #03 |キャスタリア株式会社 山脇 智志

  • 2019/03/11

日本から世界へ!
常に先を見据えて、アイディアを形にする社長の
今までにない教育ビジネス
キャスタリア株式会社 代表取締役  山脇社長

co-ba Re-SOHKOの魅力溢れる入居者様をご紹介するインタビュー企画!
第三回目となる今回は、キャスタリア株式会社の山脇社長です。

「教育×テクノロジー」で私たちの学びを変える


(キャスタリアの事業内容を教えてください)


キャスタリア株式会社は、「教育×テクノロジー」をコンセプトとしたサービス展開しており、主なビジネスは三つあります。一つ目は”Goocus”*と言うモバイルラーニングシステムを教育機関や研修会社にBtoBで提供し、その運用に関わる様々な仕事を手がけること、二つ目はモバイルラーニングシステムを使った教育機関のシステム構築のお手伝い、三つ目はプログラミング教育の提供です。
*Goocus : キャスタリア(株)が開発した、誰もが簡単に学習アプリを作れるシステム。

Goocus:https://www.gooc.us/

(教育×テクノロジーというサービスを始めたきっかけは?)
もともと私がニューヨークで立ち上げた会社を日本に移し、その会社の新規事業として音楽以外の音声コンテンツを販売するアグリゲーターを始めたのがきっかけです。
日本に戻ったのは2005年ですが、まさにiPodが日本で販売され始めた頃で、今までCDウォークマンで聴いていた音楽をiPodで聴くようになったタイミングでした。当時アメリカでは音楽以外の音声コンテンツ(例えば朗読やラジオドラマ)をiPodで聴く文化があり、これは落語や漫才がある日本にも根付くだろうと考えて目をつけました。幅広いコンテンツを取り扱いたいミュージックストアとオウンドコンテンツを持っている個人や企業との間をとりもったビジネスですね。当事者の双方にとてもメリットがあったと思います。
そしてその数多く集めた音楽以外の音声コンテンツの中で特にニーズが高かったのが教育分野でした。中でも顕著だったのが語学関連。私は間違いなく教育分野の音声コンテンツはこれからもっとニーズが拡がるだろうと考え、当時の会社を辞めて今の会社を立ち上げる際も「教育」にフォーカスすることを決めました。
起業して最初に手がけたのはポッドキャストを利用した語学学習のサービスで、世界中から語学学習に使えるコンテンツを集めてくる仕事です。その後、2007年にiPhoneがアメリカで発売され、それを手にした時に「人類は必ずこの端末(スマートフォン)を皆が持つ時代、さらにはこの端末を使って皆が学習をする時代がくるだろう」と確信しましたね。

(10年以上前から、そのような構想があったなんて…)
まだ日本ではiPhoneが発売される前、誰もスマートフォンを知らない時からPCを使うe-ラーニングではなく、ガラケーでもなく、このスマートフォンを使って学ぶ時代がくると確信していました。そして皆が使い始めようとする時に、学習するためのシステムが備わってなければならず、その時までにより手軽な仕組みを作ろうと考えてこの事業をスタートしたのです。そこから一貫して「モバイルラーニング」と言うアイディア、そしてその延長として「ソーシャルラーニング」、つまり一人で勉強するのではなくSNSで繋がりながら皆で学ぶこと、の利便性をずっと主張しています。
そしてiPhoneの発売から10年が経ち、見越した通り、誰もがスマートフォンを持つことが当然となりました。また企業も社員へスマートフォンを支給し始め、ようやくこの端末をどう活かすかに目が向けられてきています。教育業界は非常に腰が重いので、モバイルラーニングという考え方はやっと一般的に受け入れられるようになったばかりですが、いずれは私たちが考えているモバイルラーニング、人類が皆この端末を使って学習する時代、が必ず訪れると信じています。

 

まだ見ぬものへの好奇心。きっとそれが自分の根源。

(山脇社長がNYに行ったきっかけを教えてください)
私は鳥取県の出身で、人口が少なく狭いコミュニティの中で育ちましたが、そこにずっと息苦しさを感じていました。自分が何をするかは自分で決めて好きにやりたかったし、それを放っておいてほしかったのに叶わなかった。だからとにかく都会に出て行きたくて、大学で東京に来て、大学を卒業してからは世界一の都会であるニューヨークに行こうと決めました。

(海外での起業も、きっかけは都会に対する思いからですか?)
それもあるかもしれません。ただもっと大きな要因は、自分の本質とも言える好奇心だと思っています。私はとにかくまだ見たことがない場所を見たいし、まだ誰もやっていないことや面白いことがしたくて、それが行動を起こすためのエネルギーになっています。
それと、いわゆる社是たるものを考えた時に「社会的意義があることをやる」と決めました。理由は、その企業活動に社会的な意義があれば、その会社は必ず存続していくからです。存在価値がある会社はちゃんと儲けて利益を出し続けられるので、あえてベンチャーという形態を選んで世界に出て行こうと決めました。
なぜ世界を意識するかというと、10年間ニューヨークで生活していたことが影響しています。今でこそ様々な企業が海外進出をしていますが、私がアメリカに渡った当初は、日本のITベンチャーは、国内のマーケットで十分だったので、 海外に出ていく会社などほとんどありませんでした。でも私はその時からずっと世界に出ていきたかったし、今でも常にその意識でビジネスに取り組んでいます。

ただし、世界に出て行ったからすぐにお金が儲けられるかと言うとそれは違います。例えば、今我々が対面しているアフリカには決済手段すらないのが現状です。その中でどうやってお金を集めるのか?日本の1/10以下しか所得がない現地の人から支払いを受けるにはどうするのか?そう言った課題が山ほどあります。でも、だからこそビジネスのチャンスもあり、この未だ誰も解決策を見出していない問題に自分で考えて取り組むこと、そしてそれがうまく行った時が最高に面白いのです。

 

誰よりも早く動く。じっとしていられないのは天性のベンチャースピリット。

(色んなことに目を向けられているようですが、視野が広いのは昔からですか?)
そうですね、ちょっと広すぎるくらいです。そういえば昔、「山ちゃんの知識は太平洋のような広さと水溜りのような浅さを持ち合わせているね。」と言われたことがあります(笑)
またじっと考え込むのも苦手なので、まずは行動に移してみます。そもそもベンチャーが大企業に勝つためには、とにかく早くやることしか手段がないので。お金も人材も限られている中で、なるべく早くやって早く失敗をして早く撤退をする、またはファーストリムーバーとして得られるプロフィットを得るしか生き残る術はなく、大企業と同じ速度でやっていて勝てるはずがないですよね。ベンチャーの強みである決断の早さ、その決断を早くできる体制にしておくことが本当に大切です。
これは自分自身の生き方にも通じるものがあると思っています。私は最近よく大企業とは生き方であると言っており、これはベンチャーにも当てはまります。ベンチャーは、社長も社員も含めて、どれだけ早く動くか、そしてずっと何かを追い求め続けることがその生き方だと思っています。

 

自由と責任。キャスタリアが大切にしている考え方。

(これまでで一番印象的だった仕事を教えて下さい)
嬉しかったことは、入札の時に名だたる大企業に企画力で勝ったこと。無名の私たちが選ばれたことは、自らの営業力や企画・提案力への自信に繋がりました。
逆にタフだったことは、自分ではなくメンバーに任せていた案件が知らない間に炎上してしまった時のこと。その収束は大変でしたが、人に仕事を任せるとことの意味を考えさせられた出来事にもなりました。もちろん全部を自分一人でやっていては会社は回らないですし、だからこそメンバーにどんどん仕事を任せて行くことが必要ではあるのですが、その任せた相手がどれだけできるかを見極めて、最後にうまくいかなかった時は自分が出て行くと言う体制を作らなければならないと学びました。今はその体制作りも徐々にできていると思っています。
またキャスタリアには非常に大切にしている言葉として、「自由と責任」があります。キャスタリアは服装や働き方においては非常に自由な会社ですが、それは同時に社員一人一人に仕事における責任を与えていることを意味しています。これはアルバイトでも社員でも一貫している方針で、ことがあるごとに私からもよく言い伝えています。

(山脇社長の人の育て方、採用方針があれば教えて下さい。)
「こう育てる」という方針や定義はありません。その人の足らないところを補完しながら、良いところを引き出すことが自分の育て方だと思っています。なぜなら同じ人間は一人としていないですし、皆が私を目指す必要は全くないので。私は、私がこの会社で果たすべき役割をきちんと果たし、私よりもうまくできること、逆に彼や彼女でなければ出来ないことはどんどん任せています。

メンバーの採用に関しては、今まではずっと紹介や出会いなどで採用をしているので特に社員募集を行ったことがありません。今いる約20名全員が人の縁で繋がった仲間です。まあ一緒に働きたいと思うのは、変わった人、他の会社だと生きづらそうな人、面白い人がそうですね。もちろんキャスタリアという会社は求める能力はとても高いですが、真面目そうとか、聞き分けがいいとかは一切求めないです。

 

co-ba Re-SOHKOとの出会い。今後の展望

(ここからはco-ba Re-SOHKOとの関わりについてお伺いします。まずご入居の経緯を教えてください)
入居の経緯は、ちょうど以前のオフィスが手狭だと感じていた時に友人である(株)ツクルバ社長の中村さんにここのCADデータを見せてもらったことがきっかけです。この場所はまだ壁を壊したばかりでしたが、私は中村さんのセンスを信用しているのでCADデータを見ただけで入居を決めました。あと、もともとシェアオフィスやコワーキングスペースが大好きなので。小さい会社が単独でオフィスを借りてしまうと、常に限られたメンバーだけで顔を合わることになり閉塞感がありますが、シェアオフィスはすぐ隣に他の会社さんがいて日々違う人たちと知り合うきっかけがあります。会社が健全に成長するためにはそんなご近所さん的な付き合いが必要だと考えており、だからこそ社員が増えた今も何とかスペースのやりくりをしてここを借り続けています。

(co-ba Re-SOHKOが、もっとこうなったらいいな、と思うことがあれば教えてください)
co-ba Re-SOHKOはシェアオフィスとしては素晴らしいと思っています。だからこそテナントの空きも全然出ないのかと。ただコワーキングスペースとしては、その機能であるコミュニティーの醸成という点において少し弱さを感じます。理由は、カタリストと言われる、いわゆる人と人を繋げる人の側面がスタッフの入れ替わりの中で薄れてしまったから。今はただの場にしかなっていないと感じています。シェアオフィスとしては今でも十分魅力がありますが、今後オフィスや働き方がどんどんと変わって行く中で、どうやって新しい出会いや価値を絶えず提供していくのかが、このような場に問われると思っています。

(今後の展開について教えて下さい)
一言でいうと世界進出です。それも地域はアフリカ。
既に現地の団体と提携はしていますが、まだビジネスとして成立していません。それを軌道に乗せていくことが今後の目標です。まずは現地に足を運び、現地のことを理解し、現地での人の結びつきを持つことが大切だと考えています。ローカライズとも言いますが、とにかく日本と同じことをしてもダメなので、現地ならではのやり方を見つけて行くことが大切です。

(個人的にチャレンジしたいこと等はありますか?)
・・・特にないですね。なぜなら、今手がけているビジネスが自分の人生のすべてなので。今のビジネス以外のことを考えるのに時間を使っていられないです。チャレンジしたいことがあるとすれば、それは今の会社を通じて達成したいと思っています。

(オフタイムもずっと仕事のことを考えていらっしゃるのですね!)
そうですね。なので、スマートフォンは私にとって考えついたアイディアを残すためのツールです。歩いていても、寝ていても、何か思いついた時は必ずスマホに残すようにしているので。良いアイディアはいつ降ってくるかわからないし、思いついても人は必ず忘れてしまうものですから、それを逃さないよう努めています。自分では企画力に自信がありますが、それを身につけるには、人と会い、見聞きしたことを小まめにメモに残すしかないと思います。質で勝てないなら量で勝つしかないので。

(最後に、co-ba Re-SOHKOさんにダメ元でお願いするならどんなことがありますか?)
ずっと伝えていることですが、カフェを開いてほしいです。と言うのも、このビルには面白そうなテナントさんが沢山入っているのに、なかなか繋がる機会がないので。このビルに関わる人同士が交流する機会や場所を是非作ってもらいたい。あともう一つ、芝浦はとてもいい街ですが文化がないのが残念だと思っています。だから人も来ないですし。なので、co-ba Re-SOHKOさんにはこの芝浦の街に新しく文化を作ってほしいです。芝浦の文化の発信地がこのビルだったら、それは本当に素敵なことだと思っています。

「山脇社長、貴重なお話ありがとうございました!」

 

3.編集後記


山脇社長とのインタビューは「一を聞くと十の答えが返ってくる」という内容の濃い時間でした。それはきっと、常に頭の中でアイディアを生み出し続けている習慣が成せる技なのですね。またベンチャーに不可欠な行動力やバイタリティもお話しの随所から感じられたのですが、それは威圧的や押し付けのようなものでは全くなく、「それが当然でしょ」というクールなスタンスでとてもかっこ良かったです。さらに、既に形となっている会社のビジネスや今あるご自身の企画力に慢心せず、日々努力を積み重ねて人生をかけた挑戦に全力で取り組む姿勢には頭が上がりませんでした。そんな山脇社長の元だからこそ、採用活動をせずとも魅力的な社員さんが集まるのも納得です。さて、山脇社長はこれからアフリカの地にどのような道を切り開いていくのでしょうか?その答え(未来)が気になりすぎて、今後もキャスタリアのビジネスから目が離せません!

Writing 山﨑千明

co-ba Re-SOHKO:https://co-ba.net/re-sohko/
キャスタリア㈱:https://castalia.co.jp/ja/
コペンカレッジ:https://copen-college.com/


[Profile] 山脇 智志

キャスタリア株式会社