尾崎半島山林火災の被害木を床材に使用

  • 2018/05/15

2017年5月8日、東日本大震災から6年を過ぎた釜石にまたしても災害が起こりました。

釜石大観音から釜石湾を見ると、右手に見えるのが尾崎半島です。

晴れて風の強かった尾崎半島の山林から煙が立ち上り、たちまち釜石は市内全体を覆うほどの煙に包まれました。

地元の消防団や自衛隊の懸命の鎮火活動でも、一気に燃え広がった火は1週間以上、消し止められず400haという広大な山林を焼き尽くしました。

はじめは何も出来ることがないように思われました。

以前から家具の開発などで、お世話になっていた釜石地方森林組合に話を聞くうちに、いくつか問題があることを知りました。

山林を再生するには、燃えた木(被害木)を伐採し、新しく植林する必要があります。

しかし、被害木が木材として利用できなければ、伐採の費用をねん出することが出来ません。

そして植林をして、山林を再生させるためにも、木材を売ったお金が必要になります。

つまり、被害木が木材として活用できるかどうかが、再生の鍵になります。

それには、被害木が、どれぐらい被害を受けているのか、被害木を加工してくれる製材所はあるか、被害木を買ってくれる人はいるか、という3点が問題になっていました。

建築工事は震災復興のために多く行われていますが、火災にあった木は「縁起が悪い」と敬遠される傾向があるということでした。

火災発生後しばらくして、上記の問題に取り組む釜石地方森林組合が組合員の山から、サンプルとして被害木の杉を10数本伐採しました。

その情報を聞きco-ba kamaishi marudaiの床に使うことが出来ないだろうかと思い、釜石地方森林組合の高橋参事に相談しました。

大槌町の上田製材所が加工を引き受け「提供可能」の返事が。

サンプル伐採の丸太で、数量もほぼぴったりでした。

運命的なものを感じ、購入を決めました。

加工してみると、燃えたところはほとんどわからず、立派な杉の材料でした。

床の搬入から、床張りまでは、ボランティアでお手伝いをいただきながら、DIYで施工しました。

ラフな感じを残しつつ、杉の温かみを感じられる独特の空間になりました。

その事例が呼び水になったかどうかわかりませんが、被害木はその後、各地で受け入れが決まり、今は伐採が進んでいるそうです。