京王線調布駅から徒歩1分にある会員制コワーキングスペース「co-ba CHOFU(コーバ チョウフ)」には、様々な仕事をしている人たちが日々集まっています。
いったい、どんな人たちがco-ba CHOFUを拠点に働き、暮らしているのでしょうか。
Vol.13は、魚類養殖を営んでいる生産者の方々に向けた生産管理のシステム「uwotech(ウオテック)」の開発をしているAauacraft株式会社の新 真理(あたらし まこと)さんに「今の仕事について」「co-baでの過ごし方」「co-baってどんな場所?」「今後の事業展開について」の4つの質問を軸に、お話を伺いました。
新卒で入社した会社の同期(代表)と二人で立ち上げたAquacraftという会社で、魚類養殖を営んでいる生産者向けの生産管理システムuwotechを開発しています。
生産管理システムを簡単にいうと、タイやブリを育てる生産者さんに給餌量や水温を入力してもらい、データをもとにした意思決定ができるよう支援するクラウドソフトです。
私は、いわゆる「ひとりエンジニア」として、コーディングに関わる領域全て(技術選定、フロントエンド開発、バックエンド開発、インフラ構築)に対して責任を持っています。
プロダクトの仕様策定については代表が画面のたたき台を作り、私が開発視点からフィードバックをかけつつ、ご協力いただいている生産者の方々からユーザ視点でのフィードバックをいただきながら、皆が「これなら使いやすいだろう」と納得しきるまで磨けたら開発着手するというスタイルを取っています。
co-baに滞在している間の9割以上の時間はコーディングに費やしていますが、開発者が実際のユーザに触れることを大切にしたいと考えているので、生産者さんとのMTGがある場合は私も必ず参加するようにしています。
元々は今とは全く別の芸術家や作家さん向けのtoCサービスの開発をする予定でした。ですが、いざ開発に取りかかろうと、事業計画の見直しをする過程で「予算もかかるし、あまり筋が良さそうではないね…」という結論に至り、約半年ほど検討してきたことを全て白紙に戻したのが2022年のお正月頃でした。
その日の夜、たまたま新宿で入った居酒屋で「魚ってなんでこんな旨いんだろうな」という話で謎に盛り上がりつつ、「一次産業の中でも水産業は特にアナログな要素が残っているのでデジタルを使えば様々な課題解決が出来そう」という話になり、そこから水産業に関する知見収集を始めました。
水産業にバックグラウンドがなかったのですが、元々デジタルデータを活用してビジネスにするのが得意だったというのもあり、(その後も本当に色々な紆余曲折があったのですが…詳しくは代表のnoteで。笑)生産計画や販売計画を生産者の意志でコントロールしやすい養殖領域が、デジタルを使ったデータ管理との親和性が高そうということで生産管理システムの開発をすることにしました。
―会社はどのようなメンバーで運営されているのですか。
代表と私以外に2人のメンバーがいます。1人は宮崎県の延岡にある島浦という離島でカンパチやシマアジなどの養殖を営んでいらっしゃる結城さんという方で、毎週のように定例のお時間をいただき開発中の画面に対してフィードバックをいただいたり、養殖に関する様々なことを教えていただいたりしています。
結城さんとの出会いは、代表が養殖事業をされている方々に養殖業の問題点などについて、インタビューをお願いできないか、たまたまTwitterにDMを送ったことがきっかけで、元々結城さんご自身も養殖業務に課題感を感じておられるということで、プロジェクトに参画いただきました。
そして、もう一人は水産業の上流から下流までほぼ全てを経験したことがある札幌在住の金田さんという方で、営業やマーケティング戦略を一緒に考えてくださっています。
―どのようにco-baを使っていますか。
平日・土日関わらず、他の予定が入らなければほぼ毎日行っています。
平日は朝8時から9時の間には行くことが多いです。共働きの妻がいるので、妻の帰宅時間が早ければなるべく18時から19時頃には帰るようにしていますが、そうでなければ23時過ぎまで作業をしていることも多いです。
土日は特にルールを決めず、開発の時間が取れそうなタイミングで行って作業をしています。
―よく外に出かけられているイメージがある新さんですが(笑)休憩の過ごし方や仕事がお休みの日の過ごし方など教えてください。
集中力がだいたい1時間半~2時間程度しか持たないので、コーディングのキリがついたタイミングで目的地を定めずに散歩に出かけています。
また、開発中に壁にぶつかることが頻繁にあり、その際もいったん頭の中からその内容を引き剥がしてリセットするため意図的に散歩に出かけています。散歩をしていると突然解決策が降ってくることが多く、ひらめいた時は小走りでco-baに帰ってコーディングを再開しています。ちなみに、趣味がテニスなので、近くのときわスポーツ調布店に行き、店員さんと雑談するというのはほぼ毎日している気がします。
毎日何かしらのコーディングをしているので、丸一日休みという日は基本的に存在しないですが、「三度の飯よりテニスが好き」で、多摩川沿いの市民コートで、週2~3回程度、朝5時に起きて2時間近く練習しています。
―数あるコワーキングの中で、co-baを仕事の拠点として選んだ理由を教えてください。
自宅での作業が不慣れというか、気がついたら家事をしてしまう性分なので、開発に集中するために自宅以外の作業環境を作ることが喫緊の課題として認識するようになったのが昨年の秋頃でした。
「自宅から近くて作業に集中できそう場所」としていくつかコワーキングスペースを探した中で、利用可能な時間帯が7時~24時と長く、見学させていただいた際に会員間の距離感が近すぎも遠すぎもしない感じに惹かれたのが理由でした。
―実際にco-baで仕事をするようになって、変わったことや生まれたつながりなどありましたか?
元々の課題だった「自宅で仕事に集中できない」点が解決されて仕事と仕事以外のメリハリがでるようになったのが一番大きいです。
また、テニス以外で仲良くさせていただける方が出来たのはとても嬉しいです。阿部さんとはいつの間にか毎日お昼ご飯に行くようになり、お気に入りの「日々是宴」の魚定食を食べに、足繫く通っています。
そして、仕事終わりには一緒にランニングをしたり、ご自宅にお邪魔して一緒に飲んだりするまでになりました。
2023年8月にuwotechをリリースしました。
まずは多くの生産者の方々に使っていただけると嬉しいです。まだまだ開発が追い付いていない伸びしろたっぷりのプロダクトですが、使っていただいた生産者の方々に「uwotechのおかげで自分たちの養殖が良い方向に変わった」と言っていただける未来を作れるように精進していきたいです。
あとは、uwotech以外でも水産業(※養殖に限らず)にはデジタルに代替しうるアナログな部分がたくさん残っており、そのことに課題を抱えている方々がいれば、システムの受託開発も行っているので是非お声がけいただけると嬉しいです。
□uwotech 紹介動画
https://youtu.be/pGkzNSA-nIU?si=wb70b0FAQbeiIJZ0
今回「水産業で何かを作ろう!」と考え始めた際に、あまりにも業界知識に乏しかったこともあり、X(旧Twitter)でDMを送ったり、知人の知人の知人みたいな方を紹介してもらったりして、情報収集をしたという話を伺いました。
色々話を聞く中で一緒に事業をする仲間を探すにあたり、新さんたちが大切にしていることは、「話に耳を傾けてくれる方」「自分の思いのある方」「コミュニケーションがとれる方」だという話が印象的でした。これから事業を一緒にされる仲間を探す人にも参考になりそうですね!
実はこのインタビュー後、新さんは奥さんのお仕事のご縁や大学の友人からの紹介もあり、「おためしナガノ」で、急遽長野県松本市に行かれることに!
「おためしナガノ」とは、IT関連事業の個人・法人向けに長野県がオフィス利用料や引越し代・交通費などを支援して、長野県に「おためし」で住んで、仕事をしていただく機会を提供する事業で、新さんはこちらに応募され、見事参加者に選ばれ、co-ba CHOFUをご卒業されました。
とても寂しいですが、おためしナガノやuwotechの近況などを話しに、いつでもco-ba に遊びにきてくれたらなと思います。
co-baCHOFUには、多様な職業、働き方、使い方をされている魅力的な会員さんがたくさんいらっしゃるので、これからもご紹介していきたいと思います。
次回記事もお楽しみに。(聞き手:chika)