少年のような輝きを持つ青年が、メーカー営業を経て起業した理由 「ストリートカルチャーの生々しさを伝えたい」 |株式会社Heads 代表取締役 杉本 友太

  • 2019/02/26

日本のストリートカルチャーを伝えるwebメディア「Represent」の運営やWebサイトのデザイン、写真撮影などを請け負っている株式会社Heads代表の杉本さん。

小さい頃から周囲の大人たちが自営業だったことから、「いつかは独立をしたかった」と話すその目は、好きなことに夢中になっている少年のような輝きがありました。

ストリートカルチャーを発信したいと思った背景や、デザインとは無縁のメーカー営業時代を経て起業した理由、co-ba shibuyaへの入居を決めたきっかけについて伺いました。

ストリートカルチャーの魅力を伝えたい

―― Representは、ラッパーへのインタビューやスナップなどに加え、「パンチラインで覚える英語」など様々な切り口でストリートカルチャーを発信しているのが印象的です。杉本さんが、ストリートカルチャーに惹かれたきっかけを教えてください。

杉本:僕は出身が名古屋で、「ZIP-FM」というローカルのラジオを小さい頃からよく聞いていて、そこから流れてくる洋楽に惹かれたんです。それがストリートカルチャーにはまったきっかけですね。小さい頃から周りの皆が聞くようなJ-POPにはまらず、洋楽にのめり込んでいきました。
中学1年生くらいの時には、母親から「買い物に行ってきて」と渡されたお金で、アメリカのヒップホップグループのCDを怒られる覚悟で買ったこともありました(笑)。バスケットボールも並行して続けていたので、ストリートカルチャーに触れる機会は自然と多くなり、気付いた時にはどっぷりはまっていましたね。

―― 青春時代をともに過ごしたストリートカルチャーを、発信する側にまわりたいと考えるようになるまでにはどのような過程があったのでしょうか?

杉本:最初から今のような仕事をしようとしていたわけではないんです。大学卒業後は4年ほどサラリーマンをしていました。メーカーの営業職で、ストリートカルチャーとは無縁の世界。会社の仕事に一生懸命取り組んでいると、ふと、これまで好きだったストリートカルチャーの情報があまり入ってこなくなったことに気づいたんです。情報を受け取る側が能動的に探していないことにも問題があるかもしれませんが、そもそもストリートカルチャーに関する情報はあまり発信されてないのでは、と。
転機が訪れたのは、そんな時でした。「hidden champion」というストリートカルチャーを発信しているフリーペーパーを作っている方と出会いました。その人と話していて、「自分が好きなことを発信して生計をたてられるんだ」と思えたんです。もともと独立をしたいと思っていたので、どうせなら好きなことをしようと思い、メディアを立ち上げました。


Representより(アーティストのZeebra)

――いつかは独立したいと考えていたのはなぜなのでしょうか?

杉本父と母が自分で事業をやっていることが大きいですね。父は祖父と一緒に、代々引き継いでいる掛け軸や食器を納める桐の箱を作る会社の経営をしています。
周りの大人たちも花屋のおじさんとか、酒場のおじさんとか、事業を営んでいる人たちばっかりで。自分のことは、自分で責任を持ってやり遂げている人に囲まれて、様々な価値観に触れてきたのは大きかったですね。そんな大人たちを見て育ったせいか、サラリーマンのまま40代〜50代を迎える想像ができませんでした。
ただ、サラリーマンを経験して本当に良かったと思っています。「会社という大きな組織の中で、一人ひとりがどう動いているか」を体験しながら勉強することができたので、それが今の会社経営にも生きています。規模は小さいですが(笑)。

―― むしろ、サラリーマンをされていたときの頃のほうが杉本さんにとっては普通じゃなかったんですね(笑)独立されて、Webサイトの制作や写真撮影もされていますが、会社はお一人で経営されているのですか?

杉本会社は、中学の同級生と一緒に経営をしています。彼はエンジニアなので、Webサイトの制作におけるコーディングなどを一任しています。

―― 中学の同級生と起業は珍しいですね! もともと中学時代からそういう話をされたりしていたのでしょうか?

杉本いえ、実は全くそんなことはありません(笑)。共同代表は小学校と中学校は一緒だったのですが、その後は別々の高校に進学して。社会人になった後も、地元に帰ったら飲むくらいの仲でした。
独立しようかなと思っていた年、いつものように地元に帰って、彼を含めた友達と会っている時、「そろそろ独立しようと思っているんだ」って話をしてたんです。そうしたら、彼も「俺もちょうど会社辞めて、何かやりたいんだよね」と言っていて。「だったら一緒に会社やろう」という流れで決まりました。本当に偶然ですね。

人と人との対等な関係からスタートする仕事の輪

―― co-ba shibuyaに入居されたのは、独立されて半年後くらいでしたよね。

杉本:そうですね。家に引きこもってるのは、良くないと思ったんですよね(笑)。家だとベットがあって寝てしまいますし、人と交流しないとダメだと思ったのが、コワーキングスペースの契約を考えたきっかけでした。

――他にもコワーキングスペースがある中で、co-ba shibuyaに入居した決め手は何だったのでしょうか?

杉本:他のコワーキングスペースも見学して、どれもカッコいいし、値段もそこまで変わらなかったのですが、co-ba shibuyaが皆が仲が良くて一番アットホームだと感じました。
入居した後は、気になった方に声をかけてご飯行ったり、飲みに行ったりしてます。最初の交流会で自己紹介の機会があるので、会員の方とは仲良くなりやすいと思いましたね。

―― 会員同士でお仕事をすることもありますか?

杉本ありますよ! 例えば、野菜や果物の風味や栄養素を凝縮したパウダーを開発しているAunaのロゴデザインをしました。
また、co-baが定期的に開催しているtoCベンチャー応援コミュニティ「sprout(スプラウト)」でも、カメラマンをさせてもらったことがあります。


 

―― 会員の方と仕事をしてみていかがでした?

受発注の関係がスタートではなく、人と人との対等な関係からスタートしているので、仕事が進めやすいです。同じ会社の中で仕事をする感覚に近いかな。
一方で、同じ屋根の下で働く同士だけど、良い意味でみんなサバサバもしている。そんな良い距離感を保ちながら関係性を築けるのが、co-ba sibuyaの魅力だと思っています。

―― 確かに、まず信頼関係ありきの方が仕事を進めやすそうです。会員同士の交流以外では、co-ba shibuyaの魅力的なところはありますか?

杉本アットホームなところに通じるのですが、コミュニティマネージャーが気さくなところですね。会員さんに積極的に話しかけてコミュニケーションをとったり、会員さん同士をつないでくれたり、スペースになくてはならない存在です。
あとは空間の使い勝手ですね。co-ba shibuyaは5階と6階の2フロアあるのですが、集中して作業をするときは5階を利用すると、異様に捗ることが分かりました。夜は、会員同士でご飯を食べた後、5階に戻ってみんなで作業をすると、スポーツのゾーンに入ったみたいに超集中状態に入れるんですよね。気付いたら終電の時間だったこともよくあります。

将来は『ワンピース』のような組織を作り、唯一無二の価値が提供できるようになりたい

―― Representを立ち上げて1年半、コンテンツを作る時に意識していることや、ご自身の周りで変化したことがあれば教えてください。

杉本ストリートカルチャーの魅力は、「成功」の定義が一般的な成功とは真逆の位置にあるところです。良い大学を卒業して、良い企業に入るようなのは成功じゃない。勉強ができなくても、すごいパフォーマンスができれば、人気者になれて、周りに影響を与えられる人になる。それがストリートカルチャーなんです。
Representでは、そんな彼らが全力をかけて取り組んでいるパフォーマンスの様子やライブ10分前の喋りかけられないようなオーラなどを、現場の生々しさを落とさずに伝えることを心がけてます。
外から見るとストリートカルチャーに携わっている人って、「怖い」とか「やんちゃ」ってイメージがあると思います。でも、実はみんなとても真面目に自分のやっていることに向き合ってる。彼らの真摯な姿勢も伝えていきたいですね。
自分の周りで起きた変化でいうと、ストリートカルチャー界隈の人がよくメディアを見てくれるようになりました。読者が増えると、仲間が増えた気がして嬉しいですね。ライターさんや、インタビューを受けてくれるパフォーマーの方など、新しい繋がりもできました。

―― 今後、Representをどのようなメディアにしていきたいですか?

杉本ストリートカルチャーといっても、バスケットボールのカルチャーとストリートダンスのカルチャーは違うみたいに、それぞれ違いがあるんです。Representを通して、異なるジャンルが好きな人同士の交流が生まれるようにしていきたいですね。

――メディアだけでなく、Webサイト制作や写真撮影など様々な事業を手掛けられていますが、どれにも一貫している軸や強みは何と考えていらっしゃいますか?

松本:僕らが売りにしているのは、ストリートカルチャーという“若者の文化”なので、クライアントからの依頼にも、僕らじゃないと提案できないようにアヴァンギャルドな切り口を大事にしています。あとは、何よりも一生懸命にやることを忘れないようにしています。

―― ありがとうございます。最後に、今後の展望を教えてください。

杉本事業を大きくして、会社自体が影響力のある存在になりたいですね。そのためにも一緒に働く人を増やしていきたいです。夢は漫画のワンピースみたいに、いろんな専門性を持った人が仲間になって、お互い助け合いながら仕事ができること。もちろん、Representもさらに有名にして、ストリートカルチャーの良さをどんどん伝えていきたいです。


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インタビュー開始前に「みかんもらったんで、どうぞ」と初対面にも関わらず気さくに接してくださった杉本さん。ストリートカルチャーの発信を通じて、若者文化をより一層盛り上げていきたいという確固たる思いをインタビューの節々から感じました。
やると決めたらやりきる杉本さん率いる株式会社Headsの今後から目が離せません。


[Profile] 杉本 友太

株式会社Heads 代表取締役

1990年3月7日生まれ。レペゼンは愛知県名古屋市のシティボーイ。
早稲田大学を卒なく卒業した後、サムスン電子の日本法人で4年間、短髪で爽やかに営業を担当。
現在は株式会社Headsの代表取締役として、「ストリートを軸としたデザイン」をテーマに、webサイトを中心とした様々な制作業務を行っている。
趣味は映画、音楽、ファッション、サウナ。
▶︎HP:https://heads-corporate.com
▶︎Represent(レペゼン):https://heads-rep.com
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