アーチェリー日本代表から起業家へ。まだ世の中にない「概念」を創る挑戦とは |init株式会社 代表取締役CEO兼CTO 山田 卓

  • 2019/06/26

これまで社会になかった新しい「概念」を作りたい——。

そう話すのは、モバイルアプリの企画から開発、グロースまで一貫したサービスを提供するinit株式会社 代表取締役CEO山田卓さん(以下、ヤマタク)。幼い頃からアーチェリーに打ち込み、インターハイでの入賞経験や日本代表として世界ユース選手権に参加した経験を持ちます。

スポーツの世界で高い目標を掲げ、ストイックに取り組み続けてきたヤマタクが、起業という次なるステージで目指すのは……? これから描く未来について伺いました。

アーチェリー日本代表から、起業家へ

——幼い頃からアーチェリーに打ち込んできたと聞きました。始めたのはいつ頃ですか?

ヤマタク:小学5年生の時です。目標を掲げて自分を追い込み成長する感覚や、努力が形になった瞬間の充実感が本当に好きで。大学卒業までの12年間、必死で練習をしていました。

——日本代表にもなられたんですよね!

ヤマタク:はい。高校2年生の時にアメリカで開催された世界ユース選手権に日本代表として参加して、世界ランキング20位に入ることができました。

——そのままアーチェリーの選手として生きていく道もあったのでは?

ヤマタク:大学を卒業する時、アーチェリー選手として生きていくか、他の仕事に就くのか本当に迷ったんです。ですが、自分にとって新しいチャレンジをしたいという気持ちが高まっていたんですよね。

――悩んだ結果、アーチェリーを辞めて、別の道を歩むことに決めたと。

ヤマタク:そうですね。アーチェリーから離れるとしても次は同じくらいの熱量をもって取り組める仕事に就きたい。そう考えた時に思い浮かんだのが「起業」という選択肢でした。

自分で目標設定をして、そこに向かって努力をするプロセスが、アーチェリーで経験した成長する感覚と似ているようで、魅力を感じたんですよね。

——では、卒業をしてすぐ起業を?

ヤマタク:いえ。ずっとアーチェリー一筋でビジネスのことについて全く知らなかったので、まずは一度現場で学ほうと就職を決めました。

会社を選んだ基準は本当にシンプルで「成長産業であるIT分野」「年次成長率120%以上」「設立10年以下」「社員20人以下」だけでした。急成長している会社で裁量を持って仕事をすることで、起業に必要な力を最速で身につけたいと思ったんですよね。

——就職した会社では、どのような仕事をされていたんですか?

ヤマタク:法人営業を担当していました。でも、全然うまくいかなかったんです(笑)。同期が1人いたのですが、在籍していた1年半の間、彼に営業成績で一度も勝てたことがなくて。土日も休まず勉強し、働き続けたからこそ、本当に悔しくて……。

アーチェリーでは国内で勝ち続けてきたので、初めての失敗みたいな感じでしたね。とはいえ、ここまで努力して成果がでないのは、「営業が向いていない」とある種の見切りもつけられたんです。そして、もっと自分の価値が発揮できそうなことをやろうと考えました。

——次に目指したのはどのようなキャリアだったのでしょうか。

ヤマタク:売り手市場であることや、成長産業であるIT分野に密接に関わっていることを考えて、エンジニアになることを考えました。営業をしていた時も、隣のチームで作業をしていたエンジニアの方々の楽しそうな姿も印象に残っていたんですよね。

——そこからエンジニアにキャリアチェンジをされたんですね。

ヤマタク:はい。まずはエンジニアになるために、スマホアプリの分析ツールを扱う会社に転職しました。でも未経験だったので、なかなかエンジニアの仕事をやることができなくて。もう独学でやるしかないと、平日の夜や土日の時間を使って独学で勉強をし始めたんです。

——仕事をしながら勉強を続けるのは、大変だったのではないでしょうか。

ヤマタク:原動力になっていたのは「焦り」でしたね。営業で1回失敗してしまったから、もう「逃げられない」という感覚があって。とにかく必死でした。

そして、自力でアプリを開発できるだけのスキルを身につけたタイミングで退職。フリーランスのエンジニアとして、様々な開発に携わるようになりました。

その後、「polca」というアプリのAndroid版を開発していた時に同じチームだったエンジニアと、「MENTA」というスキルシェアサービスで僕がiOSアプリ開発を教えていたエンジニアを含めた3人で今年の4月に会社を立ち上げました。



世の中の価値あるアイデアを具現化していきたい

——initではアプリの開発を主軸に据えています。どのようなものを手掛けていますか?

ヤマタク:今力を入れているのは「PFC ボディメイク」というアプリです。

PFCとは、「Protein(たんぱく質)」「Fat(脂質)」「Carbohydrate(炭水化物)」の略。ダイエットというとカロリーを制限する人が多いですが、実は健康的で美しい身体をつくるためには、この3つの栄養素のバランスが大切なんです。

このアプリでは、このバランスを保った食事をとるサポートができるようになっています。

——なぜ、ボディメイクのアプリの開発に取り組もうと思ったのでしょうか。

ヤマタク:実は、前職の時に筋トレにハマっていたことがあって。週5でジムに通いながら、筋肉をつけるため最適な食事を考えて、グラム単位で食べるものを管理していたんです。

——グラム単位で……!?

ヤマタク:ハマるととことんやるタイプなんですよね(笑)。でも、既存のアプリでは食事管理がしづらくて。それならばと自分で開発したアプリがPFCボディメイクでした。今後はPFCボディメイクをブラッシュアップして、initのメイン事業にしていきたいと考えています。

——他にはどのようなアプリ開発を行っているのでしょうか。

ヤマタク:他社とタイアップして「受付アプリ」の開発、管理も行っています。今後はエンジニアにフォーカスした転職サービスのリリースも検討していますね。

——様々なアプリを開発される中で、一貫して大切にされている思いなどはありますか?

ヤマタク:世の中にある価値あるアイデアを、なるべく多く具現化していきたいと考えています。僕たちが社名として掲げている「init」は、プログラミングのコードで「初期化」という意味。initの処理機能は、設計図を実体化させて使用可能な状況にすることです。

社名にある通り、今は頭の中にしかない様々なアイデアを世の中に役立つ形で実装していきたい。そう考えて、initでは様々なアプリの開発に携わっています。

co-ba shibuyaの入居者は「クラスメイト」のような存在

——起業をされる少し前のタイミングでco-ba shibuyaaに入居してくださっていますよね。選んだきっかけは何でしょうか。

ヤマタク:正直、最初は「予算と一致している」「24時間使用できる」という条件面に惹かれて入ったんですよね(笑)。でも入ってみたら、いい意味で予想を裏切られましたね。

——というのは……?

ヤマタク:思っていた以上に、他の入居者と関わる機会が多くて。ここで生まれた関係性が自分の財産になっていると感じています。

例えば、コミュニティマネージャーからco-ba shibuyaの卒業生を紹介してもらい、仕事を受注したことも。入居している他企業の方と協働したプロジェクトの計画も進んでいます。それぞれ得意な領域が違うので、一緒に組むことで補填しあえる関係性なんですよね。

——co-ba shibuyaでの出会いが仕事にも良い影響を与えてるんですね。

ヤマタク:そうですね。僕にとってco-ba shibuyaの入居者の方は、学校のクラスメイトのような存在です。クラスメイトって普段ずっと一緒にいるわけではないけれど、文化祭や音楽祭などの時は一致団結するじゃないですか。

それと同じで、co-ba shibuyaの入居者の方は何か一緒にやりたいプロジェクトがある時に、いつでもつながることができる存在。そんな仲間がそばにいるのは、とても心強いです。

——今後、initとして挑戦していきたいことはありますか?

ヤマタク:価値あるアイデアを具現化し続けていくことで、今まで社会になかった新しい「概念」を創ること。それが今initが掲げているビジョンです。

例えば、YouTubeができたことでYouTuberという新しい職業が世の中にできた。ひとつのサービスがこれまでにない職業を生み、好きなことで生きていくという新たな「職業観」も作り出した。これってすごいことですよね。

PFCボディメイクも、社会の健康や美容に対する「概念」を変えるための挑戦です。initでは、そういった既存の概念を覆すようなサービスを創り続けていきたいと思っています。

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既存の概念を覆し、新しい概念を打ち立てる——。ヤマタクが語る未来を聞いていると私たちも思わずワクワクしてしまうような高揚感がありました。世界を大きく変えるプロダクト作りを、これからもco-ba shibuyaは応援していきます。


[Profile] 山田 卓

init株式会社 代表取締役CEO兼CTO

山田 卓(やまだたく) 通称: ヤマタク
・1992年12月25日 宮城県登米市生まれ
・東北学院大学 工学部 機会知能工学科 卒業
・小学校5年生から大学卒業までアーチェリーに注力し、インターハイ/インターカレッジ/学生大座決定戦/国体、それぞれの大会で個人・団体共に入賞複数。高校2年生時に日本代表としてアメリカ/ユタ州で開催された世界ユース選手権大会で世界20位ランクイン。
・キャリア: ネット通販系のSaaSサービス提供会社で新卒として入社して法人営業1年半 → スマホアプリ分析系のSaaSサービス提供会社でカスタマーサポートエンジニア1年、同会社所属時に独学でスマートフォンアプリ開発を行い個人アプリリリース → フリーランスiOS/Androidエンジニア1年半(CAMPFIRE/Sansan/open8/Vikonaなどでプロジェクト参画) → 2019年4月11日 init株式会社設立
・会社の事業: スマートフォンアプリの受託開発/自社アプリ運営(ヤマタクの個人アプリを法人へ譲渡して運用中)/今後エンジニアに特化したHR系SaaSサービスを考案中
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