【co-ba shibuya 卒業生インタビュー!】
ー子供の頃に抱いた夢。それを現実に変える。ー
co-ba shibuyaの卒業生であり、テクノスポーツHADOの開発者、株式会社meleap CTOの新木仁士さんにお話を伺いました。
──まず、meleap(メリープ)とはどのような会社でしょうか?
meleapは、世界中へ“ヒザがガクガク震えるほど面白いサービス”を届けるために、僕と福田浩士の2人で立ち上げた会社です。2014年に創業したのですが、創業当初の半年程は様々なサービスやアプリのプロトタイピングを繰り返していました。様々な要素技術の検証を経て、今、力を入れて提供しているのがHADOと言うテクノスポーツです。ちなみにテクノスポーツは、ITとスポーツを掛け合わせて生まれる新しいスポーツを指しています。
──どうしてHADOを開発しようと思ったのでしょうか?
子供の頃からやりたかった夢だからです。漫画やアニメのキャラクターになりきる、ごっこ遊びを子供の頃にやりませんでしたか? 例えば、かめはめ波や魔法を出したくても、何百回とポーズしても打てないし、どれだけ修行しても出てこなかった。でも起業してからの検証を経て、本気で開発すれば技が出せるぞと確証を持ちました。そこで、誰もが子どもの頃に憧れていた夢を実現するために、このHADOというテクノスポーツを開発し始めました。
HADOは、圧倒的な臨場感で技を放ち、相手プレーヤーや敵モンスターと戦うスポーツゲームで、AR(拡張現実)・位置認識・モーション認識・ジェスチャー認識・高速リアルタイム通信などの技術によって実現しています。具体的には、アタッチメントを頭部につけて、スマートフォンを挿入すると、目の前にカメラを通した周りの現実世界が広がります。腕にリストバンドをつけると、プレイヤー自身の動きを読み取り、漫画や映画、ゲームで夢見た技や魔法が打てるようになります。プレイが始まると他のプレイヤーが放つ技やキャラクターが画面の中に現れ、仲間と協力プレイをします。間合いを調節しながら攻撃したり、飛び退いて相手の攻撃を避けたりするので、プレイ後は爽やかな運動後のような感覚になります。また、デバイスを身に着けていない周りの観客も一緒に楽しめるよう、第三者視点の映像をディスプレイなどに映すことで会場全体で盛り上がります。もちろん、web上でのストリーミング配信も今後実施していきます。
──HADOには2つのバージョンがあるそうですね。
はい、対人戦とモンスター戦、2つのバージョンがあります。
対人戦は、人同士で戦います。チームに分かれ、相手プレイヤー達のライフを狙ってエナジーボールを放ち、スコアを競い合います。プレイヤーの前に展開される花びら状のものがライフです。ライフを4枚壊されるとそのプレイヤーはいったんアウト状態となり、相手チームにスコアが加算されます。2対2、3対3など複数人でチームを組む場合はメンバー間のチームワーク、そして相手との駆け引きが非常に重要となります。また、使用できるスキルは現状エナジーボールとシールドの2種類ですが、様々なスキルを追加予定です。こんなスキル使いたい!といったリクエストを随時受け付けています(笑)。
モンスター戦ではドラゴンや闇の魔王といったモンスターを倒します。参加メンバーで協力してファイヤーボールと必殺技を駆使し、強力なモンスターに挑みます。プレイ中に出現するアイテムを獲るとパワーアップしてスキルの連射ができるようになります。熱中している子供たちは腕が見えなくなるくらい高速で連射していますね(笑)。モンスター戦の醍醐味はなんといっても伝説の生き物や漫画・ゲームに登場するモンスターと戦えることです。様々なキャラクターとの戦いを楽しめるよう、コラボを進めていきます。
──創業される前は何をされていたんですか? またこの人はすごい! と思った方はいますか?
僕は富士通のシステムエンジニアをやっていました。いわゆる何でも屋さんで、社内のとあるプロジェクトが炎上したらそこに飛び込んでどうにか落ち着くまで頑張るお仕事でした。一応、構成管理を主担当とするチームに属していましたが、実際に開発現場だと主担当なんて関係なかったです(笑)。多少でも自分の担当分が落ち着いたら、その時一番ひどいトラブル対処に全力尽くすって動き方をしていました。おかげでメンタルは鍛えられました。ただ、僕はいつも面白がって仕事していたので、「どんな時でも笑ってるやつだな」と周りからは言われていました。前職や起業後を思い返してみると、今まですごいなと思った人のほとんどが、どんな大変な時でも笑っている人でした。僕はそういう人が様々な意味を含めてすごい人、強い人だと思います。僕はまだまだですが、わずかながら片鱗はあるのかもしれません(笑)。今の自身の仕事は前職と違った意味で色々なことが起こりますが、常に笑っていられる人間でありたいと思っています。
──お二人で創業されたとのことですが、出会いはいつですか? また、どのように創業へと至ったのですか?
出会いは大学3年生の頃です。二人とも大学は違ったのですが、同じ建築を専攻していました。建築学科は横の繋がりが強いので、自然と学校の垣根を超えて仲良くなるのです。ただ、大学時代は、「あ、いるなぁ」くらいの関係でした。仲良くなったのは、社会人になって一緒に遊び始めてからです。せっかく遊ぶなら自分たちだけの面白いことやろうぜって考えから、例えば男女7、8人くらいで、みんなそれぞれカラータイツ履いて学校の廃校に泊まって、パラグライダーで大空に飛び出すカラータイツ旅行をしちゃったり。バレンタインデーの時には、ただのチョコ交換イベントってありきたりだから、チョコレート掛け合いっこしたら面白そう! ってアイディアから、真っ白のつなぎを着て、水で薄めたチョコレートソースをパワフルな水鉄砲にたくさん詰めてかけっこしたり。そうやって1、2ヶ月に一回程、自分たちだけの面白いことを勝手に企画して遊んでいくうちに仲良くなり、どちらからともなく仕事でも自分たちのやりたいことやろうよ、という話を自然とするようになりました。ビジョンや考え方が似ていて得意分野が違い、相性が良さそうだったので一緒にやろうか、ということで起業に至りました。
──お二人はいいコンビなんですね。
そうですね。福田と僕は基本的な考え方や面白いと感じるポイントが似てるので息が合います。2人とも建築出身だからか、建設的な思考が沁み込んでいると思います。どうやったらできるか、実現できるかという方向でしか考えない(笑)。実現するために必要なことがあれば柔軟に自分を変えて取り組んでいく。そして本気でやりたい、と思ったら是が非でも実現するために最高の集中力を発揮してあらゆる手段をギリギリまで試します。他の人から見たら気が狂っていると思われるかもしれませんが、きっと僕らだからこそHADOがHADOたりうるのだと思います。そして僕ら2人だけでなく最高のメンバーでチームが形作られているので、これからHADOはどんどん加速していきます。
──今後はどういう展開をされる予定ですか?
今後の展開としては大きく2つあります。1つ目は、HADO対人戦バージョンの延長線上として、2020年にテクノオリンピックを東京で開催したいと考えています。東京オリンピックによって世界中の注目が集まるタイミングで、日本各県だけでなく世界中から選抜された各国チームが競い合う白熱した大会にしたいです。もちろんHADOだけでなく様々な種目、例えばドローンレースだとか、光を操るダンス(光る衣装や靴、会場の照明などをプレイヤーが操り、フィギュアスケートのような美しさで観客を魅了する)だとか、常にどこの会場も熱狂の渦となるようなテクノオリンピックにできたら最高ですね。
2つ目は、HADO対モンスター戦バージョンの延長線上として、ARMMO(拡張現実型の大規模多人数オンラインRPG)を実現させたいです。眼鏡型のウェアラブルデバイスを誰もが持つような時代になったら、渋谷のハチ公前やニューヨークのタイムズスクウェアなどに出現するモンスターを何十人、何百人でパーティを組んで討伐しに行く。想像しただけで胸がアツくなります。ただ、この時代が訪れるのはどんなに早くても2020年以降になってしまうでしょうから、モンスター戦は世界各国の遊園地やレジャー施設でアトラクションとして、デバイスを持っていなくても誰もが気軽に楽しめるようにしていきます。
最後に、個人的な願望として「想いの強さを力に変えたい」と考えています。現状、HADOは運動能力・反射神経が良い人が強くなりがちです。ただ、せっかくITとスポーツを組み合わせているのでプレイヤーの脳波計測などにより、集中すればするほどスキルの威力が強まったり、高速思考すればするほどコンボがつながっていくなど、よりテクノスポーツらしさを取り入れていきたいです。
いずれも新しい文化を生み出す取り組みなので、圧倒的な難易度が見込まれますが、その先にヒザがガクガク震えるほど面白い世界が描き切れているのでやりがいしか感じません。何よりも自分が早くこの世界で遊びまわりたいです。
──これからどう進化していくか非常に楽しみです。活躍に期待しています。ありがとうございました!
[Profile] 新木仁士
株式会社meleap CTOhttp://meleap.com/
HADOサービス開発や、テクノスポーツが要する技術の研究開発など。また、 meleapが会社として必要な細々としたこともいろいろと。最近は自分よりもすごい方々をチームに迎え入れるため、採用活動に力を入れています。
【前職】
富士通
・プロジェクト支援部隊 構成管理専門チーム
炎上しかけているプロジェクトに飛び込んで頑張る担当
・システム運用保守プロセスをベストプラクティスに導くインシデント分析サービス
ビックデータ分析ツールを用いたインシデントサービスの分析サービスの企画・設計・実践
サービス内容を全体的な論文コンペに応募し、最優秀論文賞を受賞
【学歴】
東京理科大学
工学部第一建築学科
学生向けにSNSを開発し、現実世界での実店舗と連動したミッション達成イベントを企画・運営
東京大学大学院
新領域創成科学研究産業環境学専攻
研究室に閉じこもり画面と向かい合う日々を過ごす。
プログラミング習得から始まり、技術に向かい合う真摯な姿勢を学ぶ。
いろいろ思うところはあるけれど今の自分があるのは、この期間があったから。
周りのデキる同期に囲まれ、情報検索やキュレーション、推薦、意思決定モデル、機械学習、画像処理等の技術に触れる。