「小学生の時から社長になりたいと思っていました」
「早く同世代と戦いたいと思い、大学生で起業を決意したんです」
取材で伺った言葉の数々から、夢を実現するための熱い思いを感じる株式会社NiCOLA(ニコラ)代表取締役社長の吉村光八さんは、co-ba shibuyaの卒業生です。
グルメアプリやアパレルECなどのサービスを展開するNiCOLA。先日はテイクアウトアプリのお試し会「mecimoおさわりランチ会」をco-ba shibuyaで開催してくれました。
卒業した今でも、ともにチャレンジする仲間として関わり続けてくれている吉村さん。今回は、起業時のエピソードや卒業生から見たco-ba shibuyaの魅力を語ってもらいました。
——吉村さんは大学4年生の時に起業されたんですよね。いつ頃から起業しようと考えていたんですか?
実は、小学生の頃から社長になりたいと思っていたんです。
というのも、僕は人の言うことを聞くのがとても苦手で(笑)。誰にも縛られずに自由に働くならば、社長にならなければならないと幼い頃から思っていたんですよね。
——小学生の頃から社長を……! すごいですね。
大学に入ってからもその思いは消えませんでした。そこで、将来起業するために必要な知識やスキルを身につけようと、スタートアップやVCでインターンをすることにしたんです。
最初は、予約代行アプリ「ペコッター」を運営する株式会社ブライトテーブルで働き始めました。スタートアップは人数も少なく、自分にスキルや経験があったわけでもないので、毎日ガムシャラに働く日々を経験しました。長時間働くことが良いというわけではありませんが、ペコッターでの経験を通して起業するうえでの視座を身に付けられたと思います。
その後は、サイバー エージェント・ベンチャーズ(現サイバーエージェント・キャピタル)で、アソシエイトも経験しました。プロフェッショナルが集まる組織で、自分がどうバリューを出すのか考え続けた日々は、起業する上で欠かせない経験となりましたね。
——その経験を生かして起業を決意したんですね。
本当は、社会人経験を積んでから起業する予定でした。でも、インターンをしていた頃、自分とほぼ同世代の人たちが起業して資金調達をしたり、バイアウトをしたりと、次々と実績を出していく様子を目の当たりにして。純粋に悔しくなったんですよね。
早く戦わないと負けてしまう。そんな焦りにも似た気持ちから起業を決意しました。
——起業後は、どのような事業に取り組んだのでしょうか。
最初に取り組んだのは「グルポケ」というグルメアプリです。ユーザーがお気に入りの飲食店をリスト化できるアプリで、店舗のリピート率向上を目標としていました。
しかし、サービスを運営する中で、毎日居酒屋やレストランに行く人は少なく、ユーザーが再度店舗を訪れるまでに期間があいてしまうことに気付いて。スタートアップは検証と改善を繰り返し早く結果を出す必要があるのに、ユーザーの行動頻度が低いとそのサイクルを回しづらい。そこで、ユーザーの行動が高い頻度で現れるニーズのある領域で、プロダクトを作りたいと思うようになっていったんです。
——グルポケは今クローズされている…?
いえ。グルポケの提供は続けながら、次にテイクアウトをしているレストランやカフェを検索し、事前注文をして待ち時間なく商品を受け取れるアプリ「mecimo」を開発しました。
テイクアウトだとランチや軽食などで日常的に使用する人も多く、ユーザーの行動頻度も高い。施策の改善サイクルを速く回すことができ、スタートアップのスピード感ともあっています。5月にリリースしたばかりですが、ユーザーの反応もよく、手応えを感じています。
——mecimoの他にも、アパレルEC(chouette tokyo,papermoon tokyo)の運営にも取り組まれていますよね。食や衣服というサービス領域を選んだのはなぜでしょうか。
「衣食住」という人々の生活に最も密接に結びついている領域でカルチャーを創ることで、より大きなインパクトを社会にもたらしたいと考えたんです。
mecimoでは「テイクアウトを当たり前にする」という新しいカルチャーを、アパレルECでは服装というツールを通して「十人十色の生き方を表現できる」世界観を創っていきたいと思っています。
——「カルチャーを創る」とは具体的にどのようなことを目指しているのでしょうか。
社会に新しい価値を生み出し、それが当たり前のように人々の生活に浸透する状態ですね。
たとえば、mecimoだと多くの人が利用しているコンビニ弁当と同じくらい、テイクアウトを一般的にしていくことを目指しています。コンビニ弁当ばかり食べていると栄養は偏ってしまいます。しかし、mecimoを通してテイクアウトが当たり前になれば、プロが作った美味しくて健康に良い料理を気軽に楽しめるようになるはずです。
NiCOLAでは衣食住における現状の「当たり前」を変え、人々の生活に自然と溶け込むようなカルチャーを事業を通して創り続けていきたいと思っています。
——先日、mecimoのお試し会をco-ba shibuyaで開催してくれましたよね。卒業してもこうやって戻ってきてくれるのは、とても嬉しいです。
こちらこそ、ありがとうございました! 自分でサービスを作られている同じ起業家が入居者に多いので、ぜひ意見をもらいたいと思っていたんですよね。実際に自分では思いつけなかったような意見をもらえ、とても貴重な時間になりました。
——起業家の先輩である吉村さんと話せたことで、現役の入居者の方にとっても有意義な時間になったと思います。起業や経営に関するアドバイスもしてくれていましたよね。
まだ偉そうなことを言える立場ではないので、アドバイスというほどのものではないのですが……。僕自身の起業経験から感じたことをシェアさせてもらいました。
——例えば、どのような話を?
初期の段階で融資を受けておく重要性などを話しました。僕は最初は融資を受けていなかったのですが、
するとキャッシュがなくなった時に精神的な余裕がなくなってしまったんですよね。そして、事業に集中しきれない状況に陥ってしまった。それをとても後悔していたんです。だから、もしできるなら融資は最初に受けて事業に集中できる環境を作るのがよいと体験談を踏まえて伝えました。
――入居者の方も話を聞けてよかった、と言っていました。
そう言ってもらえると嬉しいです。あとは、メンバーが辞めてしまった時の話もしましたね。たぶんどの経営者も悩むところだと思うので。co-ba shibuyaに入居していたとき、コアメンバーがメガベンチャーに転職してしまったことがあったんです。NiCOLAの描く未来に、人生をかける価値があると感じさせられなかった経営者としての自分がふがいなくて。
それからは何を目指すのか、どうして一緒にやっていきたいかなどをしっかり言葉にしてメンバー伝えるようにした、と僕の失敗談などを伝えましたね(笑)。
——起業当初から吉村さんの姿を見てきたので、そうやって自分の経験などを今の入居者の方々に伝えてくれている姿を見て、とても頼もしく感じました。
実は、以前インターンをしていたペコッターの社長である松下(勇作)さんはco-ba shibuyaの卒業生で。そのつながりで僕もco-ba shibuyaのことを紹介してもらったり、事業に関して色々なアドバイスをもらったんですよね。僕も松下さんのように卒業してもco-ba shibuyaとのご縁をつないでいける存在になれたらいいなと思っています。
——そう言ってもらえると嬉しいです。co-ba shibuyaは卒業したら終わりではなく、新たな挑戦をしている卒業生のみなさんを応援しながら、一緒に新しいチャレンジを積み重ねていけたらと思っているんですよね。
ぜひこれからも関わり続けられたら嬉しいです。
僕がco-ba shibuyaを卒業したのは、次のステージに進みたいと思ったから。会社に徐々にメンバーも増えてきて、コワーキングスペースではなく自分たちのオフィスを持つことで強固で濃密なカルチャーを創りたいと考えたんです。
でも、そこでco-ba shibuyaとのつながりが途切れてしまうのはもったないな、と。
だからこそ、これからもサービスの意見を聞きにきたり、たまにはリフレッシュをしに帰ってきたり。そんな風に卒業しても、さまざまな形でco-ba shibuyaには関わり続けていきたいです。
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入居している時はもちろんのこと、卒業してもco-ba shibuyaはみなさんの挑戦を後押しできるような存在でありたいと思います。最初は1人で事業に取り組んでいた吉村さんも、今は10名以上の仲間を率いる存在に。貪欲に、着実に成長していく彼を応援しています!
[Profile] 吉村光八
株式会社NiCOLA 代表取締役1993年、福岡県北九州市生まれ。国際基督教大学卒業。
大学在学中複数のスタートアップやVCでの勤務を経て
NiCOLAを創業。好きな食べ物は寿司。
テイクアウトアプリやアパレルECをやっています。
サービスリンク: https://mecimo.jp/
https://www.instagram.com/papermoon_tokyo/
https://www.instagram.com/chouette_tokyo/