世界中の食卓を明るく賑やかに |株式会社ブライトテーブル 代表取締役社長 松下勇作

  • 2016/03/31

【co-ba shibuya卒業生インタビュー!】

“ペコッター”という、グルメQ&Aアプリをご存知ですか?

co-baの卒業生で、ペコッターというサービスを運営する株式会社ブライトテーブル代表取締役社長 松下勇作さんにお話を伺いました。

ペコッター始めました!

──早速ですが、今のお仕事内容を教えて下さい。

世界中の食卓を明るく賑やかにする”というビジョンのもと、ブライトテーブルという名前の会社を経営しています。今具体的に取り組んでいるのは、グルメQ&Aアプリ“ペコッター”の開発・運営です。どんなサービスかというと、“渋谷新南口エリアでおすすめのランチスポットを教えて下さい!”のような希望をつぶやくだけで、その希望にマッチした、素敵なお店を教えてもらえるサービスです。いろんな人に楽しみながらお店を教えてもらえるのがペコッターです。

ペコッター01  ペコッター02

新しいグルメアプリのスタイル

──昨日ペコッターを使って昼食を食べたのですが、たくさんキャラクターがいて他のグルメアプリとは一味違った印象を受けました。他のアプリと大きく違うところはありますか?

今までのグルメサービスは、無数のお店のリストの中から、自分一人で一つずつお店の特徴や口コミを確認して選ばなくてはならないものでした。これらのグルメサイトは、始まりが2000年代で、パソコンの大きな画面で使うぶんには問題はありませでした。つまり、「情報量が多ければ多いほど良い」という価値観。ただ、人々のインターネットへのタッチポイントがパソコンからスマートフォンに移った2014年ごろから、「お店探しがしんどいな」と感じるようになったんです。結局のところ、その瞬間に行けるお店は1軒だけなわけで、その1軒が素早く簡単に見つかることが、ユーザーの求める本質的な価値だろうと。(当然、お店を探すという過程も楽しいのですが、それはグルメ雑誌を買うような層の人たちで、そこまでグルメじゃないけど美味しいお店に行きたいと思ってる人がもっと多くいるはずなので、その人たちにアプローチできるサービスを作ろうと。)

ペコッターは、無数のお店から一つ一つ自分の希望のお店を探していく前に、グルメなユーザーさんがいくつかのお店を厳選してくれていて、サービスとユーザーの間に情報のキュレーションが一層あるイメージなんです。グルメなユーザーさんが厳選してくれたお店の中から、選ぶ感じです。リリースしてわかったのは、ただ美味しいお店が分かるだけじゃなくて、ユーザー同士のコミュニケーションが生まれるところにもペコッターの価値はあって、今は、そのあたりの価値を高める施策を進めています。

ペコッター03  ペコッター04

今の自分を作ってくれたのがあのときの食事でした。

──なぜ食に注目したんですか?

まず、会社としてサービスをやるからには多くの人に使ってもらえるものを作りたいと思っていて。合コンとかに行ったときに、同じ社長でも、おっさん相手に難しいソリューションを提供してるっていうよりも、その場にいる子も知っている有名なサービス作ってるほうがモテそうじゃないですか。じゃあ60億人が全員することって何かなぁって考えた時に、三大欲の一つで食欲があるなあと。後もう1つ、志の観点から言うと、自分は、東大に入って、修士課程、博士課程と進んで、希望のITコンサルティング会社に入って、ベンチャーキャピタルから投資をうけて起業をした。こういう風にきくと、すごい楽しそうな人生ってみえるかもしれない。

でも、実際は、1浪、2留して、博士課程に進んだものの、経済的な状況から就職、と色々な出来事がありました。今はこうやって明るく話してますけど、どんな人にも必ず、上がったり下がったり、波があると思うんです。その下がって落ちた時に、親とか兄弟、友達や先生、先輩後輩が、一緒にご飯を食べてくれたっていう思い出があって、そこで下がって落ち込んでも道を踏みはずさずにすんだというか、明日、別のやり方で頑張ってみようかなって思えた経験があって。ご飯を誰かと対面して食べる、そこに、心に栄養を与えてくれる力があるんじゃないかと。それをもっと世の中に増やしたいっていうのが、起業の根底にあります。その気持ちを込めたのが、ブライトテーブルなんです。

──なるほど、松下さんにとって食は人生のターニングポイントでもあったんですね。食に目をつけた松下さんですが、ちなみに好きな食べ物はなんですか?

青椒肉絲(チンジャオロース)。ピーマンっていう青物野菜と、牛肉のタンパク質をバランスよくとれるでしょ。あと、たけのこの繊維質。炒めものって、たとえば回鍋肉とか、全部炒まっちゃって、しなしなでしょ。おじいちゃんの金玉みたいな。でも青椒肉絲は、たけのこのシャキシャキ感があって食感も楽しめる、優秀な食べ物じゃないかなって。

日々、創造の世界を刺激してくれるのが、ここ、co-ba shibuya。

──ペコッターなど斬新なアイデアを生まれましたが、co-baを使っていて、アイデアのヒントになったことはありますか?

co-baはアイデアの宝庫だと思います。まず、物理的なスペースとして創造を刺激するところがあって。5階と6階で分かれてるでしょ、さらに同じ階のなかでも、部屋がそれぞれ全然違う雰囲気に分かれてる。だから座る場所をが変えるだけで、景色が変わる。そういう切り替えが、ふとしたアイデアにつながることが多くありました。あと5階は靴で、6階は裸足っていうとこも、触感を変えてるんでしょうね。あとは人との関わりですね。co-baには3年間いましたが、普段の何気ない会話にヒントがあったり、積極的に自分のサービスのことを話して意見もらったり。一緒に仕事をしたことのある人も多くいます。co-ba内のつながりだけでなく、ピッチイベントsproutみたいな、外部にも公開された交流会とかも多く開かれていて、そこでも多くの繋がりが生まれています。場所と人の繋がりの両方から、発想の刺激をもらってる感じです。

松下さんco-ba利用中

誰もやったことがないことを

──これからはどういう展開を考えていますか?

2015年9月に新しいオフィスを借りて、9月末にco-baを卒業しました。今まで、これでいける!という確信のあるサービスを作れなくて、基本的に1人で開発からサービス運営までしていました。人を雇っていけるって確信がなかったんです。でも、ペコッターは、これだったらサービスをどんどん大きくできるなって、確信というか覚悟が出来たんです。メンバーも増えて、ペコッターをもっと広げて行きたいと思っています。

より多くの人にサービスを届けたいって思いもありますが、それよりも大きくなってるのが、誰もやったことがない、聞いたことがないことやってみたいっていうのがあって、見方を変えるってところに今一歩踏み出しています。

ペコッター00

──ありがとうございました。松下さんの今後のご活躍を期待しています。

(※内容は2015年11月現在のものです。)


[Profile] 松下勇作

株式会社ブライトテーブル 代表取締役社長

2006年3月:東京大学理学部 化学科卒業
2009年3月:東京大学大学院理学系研究科博士課程 生物化学専攻中退
2009年4月:株式会社シンプレクス・テクノロジー入社
(現・シンプレクス株式会社)
(株式、債券のディーリングシステムの設計・開発)
2011年10月:インキュベイトキャンプ2nd出場、投資採択
2012年2月:株式会社ブライトテーブル設立