誰もが自分の仕事に誇りを持つ世の中に! 職業ポータルサイト「給料BANK」がつくる仕事の新たな価値創造 |株式会社WAMICO 山田コンぺー

  • 2018/08/14

様々な仕事の業務内容や給料がまとめられたポータルサイト「給料BANK」。

各職業がRPG風のイラストでまとめられたことが話題を呼び、書籍化された本は累計35万部を超えるほど人気を集めました。そんな給料BANKを作ったのが株式会社WAMICO 山田コンペーさんです。

コンペーさんはサラリーマンとフリーランスを経て、法人化する際にco-ba shibuyaへ入居しました。今回は、そんなコンペーさんが歩んできたキャリアや給料BANKが生まれたきっかけ、co-ba shibuyaをどのように活用しているかについて、話を伺いました。

時間に縛られずに働くため、ポータルサイターに

最初に起業を考え始めたきっかけについて教えてください。

コンペーさん(以下、コンぺー):大学生のころ、サラリーマンがカッコよく見えなくて。電車の中で悪態をついていたり、顔が疲れ切っているのを見て、こうはなりたくないなと思ったのが最初でしたね。でも、最初から起業をしようと思っていたわけではなくて。

当時はどのようなキャリアを思い描いていましたか?

コンぺー:役者や映画監督になりたいという思いがあって、大学の後半くらいからお芝居やラジオのレポーターに挑戦していました。芸能関係の仕事に憧れていましたね。

芸能関係のお仕事にはもともと興味があった?

コンぺー:昔から映画を見るのが好きだったのも影響しているのですが、コンプレックスがあったことが大きいです。昔は学校でいつも端にいる人間だったので、いつか世界を変えてやろうという思いがあって。その根源には、目立つことに対する欲求があったと思います。

卒業されてからも、お芝居を続けたのですか?

コンぺー:そうですね。20代後半まではアルバイトをしながら続けていたのですが、役者としても映画監督としても芽が出ることはなく。最終的には芸能関係の道をあきらめて、なりたくないと思っていたサラリーマンになってしまいました(笑)。
当時は、UNIQLOが公開していた「UNIQLOCK(ユニクロック)」という広告が流行していて。こういう仕事も面白いと思い、Webデザイナーになるために学校に通いました。そこで半年間勉強して、Webデザイナーとして制作会社に就職しました。

企業で働かれてみて、サラリーマンに対する価値観は変わりましたか?

コンぺー:サラリーマンにも、こんなにカッコいい人がいるんだと考えが変わりましたね。上司が本当に良い人で、Webデザイナーに関するノウハウを一から丁寧に教えてくれたんです。
Webデザイナーを経験した後、様々なポータルサイト運営に関わる「ポータルサイター」という職種で、フリーランスになられましたね。そこに至った経緯を教えてください。

コンぺー:仕事には満足していたのですが、毎日必ず決まった時間に会社に行くのが苦手で(笑)。その日のモチベーションによって働けば、もっと仕事の効率が上がると思っていました。
会社では、Webディレクターや企画なども経験していたので、その経験を生かせて、時間に縛られない働き方を実現できるのが、ポータルサイターだと考えたんです。

ポータルサイターでは、具体的にどのような仕事をしていたのですか?

コンぺー:特定のテーマで困っている人たちに、記事を通して悩みを解決してあげるWebサイトを何個か作っていました。たとえば、勉強のノウハウだったり、お店の評判などですね。
ビジネスモデルはアフィリエイトだったので、最初はアクセス数が全然上がらなくて大変だったのですが、半年くらいたってから安定するようになりました。

様々な職業のポータルサイト「給料BANK

ポータルサイターとして仕事をする中で、RPG風のイラストで様々な職業の給料や仕事内容をまとめた「給料BANK」が話題を呼びました。開発のきっかけは何でしたか?

コンぺー:就職しようと思ったときに、どのような職業があるか分からなくて。同じように困っている人がいるのかなと思ったのが、給料BANKを作ろうと思ったきっかけでしたね。

職業に関する各データはどのように集めたのですか?

コンぺー:知人がいない場合は、該当する方のアドレスを調べてメールを送ったり、厚生労働省が発表している統計情報を見たり、複数の求人サイトの数値をまとめながら算出していきました。

RPG風のイラストを使用されているのが特徴的ですね。

コンぺー:そうですね。仕事をすることで、経験値を高めていくという人生は、RPGでキャラクターのレベルを上げていくのに似ているなと。色んな職業をRPG風のイラストで紹介してあげることで、自分の仕事に誇りを持ってくれたらいいなという思いを込めました。当時は売り上げのほとんどをイラストにつぎ込んだので、生活はカツカツだったのですが(笑)。

サイト開始とともに、多くのメディアに取り上げられていましたよね。

コンぺー:特にプレスリリースは出していないのですが、何の前触れもなく、2ちゃんねる(現在は、5ちゃんねる)にまとめられていて。アクセス数が急増したときはビックリしましたし、ディスられていないか心配になりました(笑)。ただ肯定的な意見も多く、2ちゃんねるをきっかけに多くのWebメディアも取り上げてくれたので、とても感謝していますね。

一気に給料BANKに対する認知が広まった中で、展開の仕方はどう変わりましたか?

コンぺー:RPG風のキャラクターだったので、ゲーム化したいと思っていました。しかし、ゲームは黒字化するまでが大変なようで、どうしようかなと悩んでいたときに、宝島社から書籍化に関する連絡がきて。当初は想定していなかったのですが、2016年に『日本の給料&職業図鑑』という形で書籍化され、シリーズ累計35万部を超えたのは嬉しかったです。

書籍化後の反応として嬉しかったものは何かありますか?

コンぺー:お母さんが、子どもへのプレゼントとして渡しているのをTwitterで見たときですね。自分の職業に誇りを持ってもらいたいという思いで給料BANKを作りましたが、子どもに対して「お父さんの仕事を紹介したい」という用途で使われていたのは予想外でした。
また、同じく子ども向けの教材として、図書館に設置いただいたのも嬉しかったですね。

心地よい距離感を生んでくれたco-ba shibuya

co-ba shibuyaに入居していただいたのは、給料BANKが盛り上がり始めていた時期でした。もともとco-ba shibuyaのことは知っていたのでしょうか?

コンぺー:はい。人工知能に関する勉強会に参加したとき、たまたま場所がco-ba shibuyaだったんです。クリエイティブな空間で、人がつながりやすい設計がされている印象がありました。
ちょうどそのときは、フリーランスのポータルサイターから法人化しようと考えていた時期でもあったので、法人登記という意味でも、入居をすぐに決断しました。

入居されてからも印象は変わらなかったですか?

コンぺー:コワーキングスペースは、イケている人ばかりいて怖い印象があったのですが(笑)。co-ba shibuyaは、コミュニティマネジャーや会員の方が気さくで助けられています。

co-ba shibuyaをどのように活用されていますか? 会員の方との交流の中で、サービスの一部を改善したなど、具体的なエピソードがありましたら教えてください。

コンぺー:基本は会社を1人でやっているので、ずっと家で作業をしていると寂しいですよね。co-ba shibuyaに来ることで、会員同士で切磋琢磨できているような気がしています。
交流会では新しいつながりも生まれるので、サービスへのフィードバックをもらえるだけでなく、「一緒にプロジェクトを始めませんか?」と言っていただいたこともありました。

その他に印象的なエピソードは何かありましたか?

コンぺー:忙しくてco-ba shibuyaに足を運べていない時期があったのですが、そのときにコミュニティマネジャーの方がメッセンジャーで「元気ですか?」と送ってくれたんですよ。
コミュニティマネジャーの方は、会員との距離感って難しいと思うんですよね。会員からすると、頻繁に連絡がきたら返信が面倒だし、放置されすぎると行く意味を感じなくなる。
co-ba shibuyaは、久しぶりの連絡が「なぜ来ないの?」ではなく「元気ですか?」でした。こうした優しさと心地よい距離感を感じられるのは大きなメリットでしたね。

会員同士で新しいサービスを開発したい

給料BANKの今後としては、どのような展開を考えられていますか?

コンぺー:まだ具体的に話せる段階ではないのですが、巨大なプロジェクトを上場企業の社長さんや有名クリエイターなど素敵な方たちと新しいプロジェクトを進めている最中です。

新しいサービス開発も視野に入れていますか?

コンぺー:そうですね。最近では、給料BANKの職業図鑑のゲームプロジェクトが進んでいます。ストーリーは金田一少年などで有名な樹林伸先生に作っていただいています。有名な漫画家の方やクリエイターも参画しており、ベータ版予定日ももうそろそろ発表できそうです。

co-ba shibuyaの活用方法について、要望や考えていることがあったら教えてください!

コンぺー:会員さんと新しいプロジェクトを作りたいですね。給料BANKのような形で、RPG風のキャラクターを活用した性格診断を作りたいのですが、人手と開発力が足りていません。co-ba shibuyaのエンジニアさんを巻き込んで、一緒に作れたらと思っています。

ありがとうございます。最後にRPG風のキャラクター活用したサービスにかける思いや、サービスを通して実現したいことを教えていただけますか?

コンぺー:自分がRPG好きなのが一番大きな理由なのですが(笑)。でも、一つ思っているのは、稼ぐことだけを考えていると、仕事って面白くならないということです。
だから、自分がワクワクするようなサービスを作りたい、という思いが根底にあります。その上で、ユーザーの皆さんに喜んでもらったり、役に立てられれば嬉しいですね。

「サラリーマンはカッコよく見えない」から一転、Webデザイナーやポータルサイターの経験を経て生まれた給料BANK。「自分の仕事に誇りを持ってほしい」というコンペーさんの思いが、多くの人に届くと嬉しいです。新しい展開も今から楽しみですね!


[Profile] 山田コンぺー

株式会社WAMICO

札幌出身。ポータルサイトの企画運営を行う職業「ポータルサイター」として独立。その後、株式会社WAMICOを起業し、
「一億総かっこいい職業」を掲げたポータルサイト「給料BANK」など、複数のポータルサイトを運営。
主な著書には、『日本の給料&職業図鑑』シリーズ(累計発行部数35万部突破)『こどもおしごとキャラクター図鑑』がある。
給料BANK https://kyuryobank.com/