セカンドキャリアは何か世の中に残せる仕事を! 出版社を立ち上げた 株式会社清明書院 奥山若子さん

  • 2023/05/07

京王線調布駅から徒歩1分にある会員制コワーキングスペース「co-ba CHOFU(コーバ チョウフ)」には、様々な仕事をしている人たちが日々集まっています。

いったい、どんな人たちがco-ba CHOFUを拠点に働き、暮らしているのでしょうか。

Vol.12は、株式会社清明書院という出版社を営む奥山若子さんです。
28年間勤務していた前職とは縁もゆかりもない出版社を3年前に調布で立ち上げ事業を行っている経緯や、co-ba CHOFUの他の会員さんとは少し違った利用のされ方などについて伺いました。

今の仕事について

―自己紹介をお願いします

2020年に設立した「株式会社清明書院」という出版社を営んでいます。
元々は大学の教科書を電子出版したいという要望にお応えする形で始めましたが、電子出版のほかにも印刷書籍やAmazonプリントオンデマンド(電子情報を預けておくと注文が入る度に書籍をAmazonが印刷して発送するシステム)の出版もおこなっています。
仕事内容は書籍の出版のほか、論文や書籍の校正、冊子・パンフレットの制作等いろいろです。
出版の実績は、アカデミック分野では大学の教科書やゼミでの調査研究書、カルチャー分野ではYouTuberのエッセイ本などです。

YouTuberオックンのエッセイ本を出版

 

―どのような経緯で現在のお仕事を始められたのですか

この仕事は、自分でも気がついたら始めていたという感じです。6年前に退職した28年間勤めた職場では、出版とは縁もゆかりもない会計系の仕事をしていました。
その仕事では、ノウハウをアドバイスすることはあっても、自分で何かを生み出したり、作り上げたものを残すということが無い職種だったので、働きながら「せっかく生まれてきたのだから、何か世の中に残せる仕事がしたいなぁ」という想いを持っていました。会社を退職したことや、子ども達に手がかからなくなって時間ができたことで、なにか世の中に残したいと思った時に(江國香織さんの小説を読むのが好きなので)小説を書きたいなと思うようになりました。 そのためには文章を書く基本を学ぼうと、校正スクールに通ってみたら面白くなって、校正の資格を取得しました。 その後校正者として書籍を出版する方の制作を手伝う機会をいただき、書籍制作の魅力を知りました。 校正の仕事に携わるうち、教科書を電子出版したいというお話をいただき、じゃあ立ち上げてみましょうか……、という感じで行く先は変わりつつも何かに導かれるように自然の流れに身を任せていたら、たどり着いた先が出版社でした。
自分で書いた小説ではなかったですが、今の仕事は世の中に自分が出版した書籍を残せている喜びがあります。

 

 

―お住まいの調布で会社設立をされた理由について教えてください


子育てや卓球・畑などの趣味も楽しんでいる街ですので、馴染みがありますし知り合いが多く安心感もあり、調布を拠点に事業をやっていきたいと思いました。
実際に本や冊子の印刷をお願いしている会社さんも、一般書の販売をお願いしている本屋さんも、調布の会社です。地元調布の繋がりに助けていただき仕事が成り立っています。

 

co-baを仕事の拠点に選んだ理由

―co-ba入会のきっかけを教えてください

事業を始めるにあたり、調布市産業振興課主催の「絶対創活塾」に参加したのですが、そこを卒業する時に会社の住所登記ができるco-baを紹介いただいたのがきっかけです。
絶対創活塾では中小企業診断士などの先生の指導のもと事業計画を作成し事業のノウハウを教わりました。また、調布市の特定創業支援事業(e-プロジェクト)の対象で、卒業して調布で登記をすると法人登記の登録免許税が軽減されるなど調布で起業をするメリットがありました。


そこでco-baの様子を見に行ったときに、入口に貼ってあったたくさんの会員さんが写った交流会の写真を見て、この仲間に入れたらいいなと思い入会しました。co-baを選んで良かったと思ったことがあります。書籍を販売するには登録してISBNという番号を割り当ててもらう必要があるのですが、その登録住所はバーチャル事務所ではダメで、ポストに会社名が確認できることが条件でした。その頃co-baのポストには個々の会社名は明記されていなかったのですが、スタッフさんに事情を説明したところ、その日のうちにポストに会社名を明記してその写真まで送っていただいたのです。
おかげさまで無事ISBNを取得し、現在書籍販売ができています。
会員の要望に耳を傾けきちんと応えてくれる、みなさんが使いやすい環境を目指している、co-baはそういう場所だと思いました。

 

―co-baをどのように利用していますか?

会社を立ち上げるためにco-baに入会したのが2020年春、コロナが急速に日本に入ってきた頃のことです。外出自粛と感染リスクへの警戒もあり、co-baは住所利用を主な目的としました。そのため最初から自宅で作業する習慣がつき、現在でも作業は基本的に自宅で行っています。

住所利用の他に、co-baは異業種の会員さんとの交流や、情報インプットの場として考えています。昨年久しぶりにオフラインで開催されたco-baの8周年記念パーティーや、毎月一回のランチ会などに参加しています。

co-baCHOFU女子ランチ会にて

 

普段は「幽霊部員」なのですが仲間に入れていただき、様々な働き方の会員さんの話を聞くことができています。スタッフさんが気軽に声をかけて繋いでくださることもあり、編集者の会員さんと知り合いになったり、いつかは書籍をつくりたいという会員の方とお仕事をさせていただいたり、また会議室で卓球をして仲良くなったりと、いつも楽しく有意義な時間になっています。

卓球台としても利用できるco-ba CHOFUの会議テーブル

 

―会員さんの本を出版されましたね。

co-baCHOFU8周年記念パーティーで、いつかは書籍をつくりたいと話す会員さんと意気投合し、そこに文章を書くライターの会員さんも紹介していただき三者で協力して冊子を作りました。
そのパーティーでは会員同士でチームになったゲームで優勝、景品にco-ba会議室利用無料券をいただいたので、その券を使って会議室で出版の打ち合わせを何度かしたのですよ。

co-baでの交流から生まれた冊子

 

仕事が休みの時に楽しんでいることや趣味について

趣味は、卓球です。数年前に調布市の総合体育館で初心者向けの卓球教室へ通ったことがきっかけで、その仲間達とグループを立ち上げて楽しんでいます。
また、別の仲間と畑を借りて四季折々の野菜を育てています。

 

これから挑戦したい仕事や目指す仕事像

教育関連の出版を行いながら、一般の方が気軽に出版できる一助となるような出版社を目指しています。
いろいろな方と話をすると、書籍を1冊は出版したいという方が意外と多いです。人に頼まれて書くのではなく、自分から書籍を出版したいと思われている方を応援したいです。
公に出版するからには、きちんとした校正で著者さんが恥ずかしい思いをしない内容の書籍を制作することが一番大切なことだと思っています。また、出版した書籍の広報活動にも力を入れていきたいです。
ただたくさんの仕事をこなすのではなく、自分の教科書がつくりたい、教育に出版を組み込みたい、ぜひ自分の書籍を出版したい、そういった方々の思いを実現するため丁寧に書籍を制作する、そういう仕事をしていければと思っています。

 

インタビューを終えて

業務を行う場・登記や住所を利用する場として利用されている会員さんが多い中、
交流会やランチ会・駅伝の応援などのイベントに積極的にご参加いただいている奥山さんに今回詳しくお話を伺うことでco-baの新たなご利用方法をご紹介出来たのではないかと思っています。


また、ライフステージに合わせて働き方や生き方を変化させた奥山さんのお話は、私自身大変参考になりました。
このインタビューが、必要な方に届きますよう願っております。(かき)