「宇宙」を仕事に! 高校生の未来を変えた、“仕事軸のコミュニティ”だからできたこと

  • 2023/06/15

「お久しぶりです。その後いかがお過ごしですか。今日は、お願いがあってご連絡いたしました。co-ba CHOFUに、宇宙の仕事をなさっている方がいらっしゃったような気がするのですが、ご紹介いただけないでしょうか」

2022年10月、co-ba CHOFUコミュニティマネージャーのもとに、元会員さんの福田さんから連絡が入りました。当時高校3年生のお嬢さんが宇宙工学分野を進路先に考えていることから、元国際宇宙ステーション運用管制官で、現在も宇宙関連事業を専門としている増田勇野さんにキャリアの歩みを伺いたいとのご相談でした。聞けば、一年前にco-ba CHOFUで実施した子ども向けイベント「夏休み 宇宙講座」を思い出してくださったそうで、喜んでご縁をおつなぎしました。

▶co-ba CHOFU元会員 福田さんと増田さん

 

そして、2023年3月下旬。福田さんからうれしいメッセージが届きました。

「その節は増田さんをご紹介くださりありがとうございました。
おかげさまで、娘は宇宙に関連する大学に進学することになりました。増田さんにお目にかかったことで、娘の人生が変わった気がします」

今はco-ba CHOFUを卒業された元会員さんの二人が、co-ba CHOFUを通して繋がり、若者の未来へとつながった――この場のコンセプトである「co-ba CHOFUを通して、豊かにくらしはたらくことができる」がまさに実現した出来事でした。

この宝物のようなエピソードを留めるべく、福田さん親子と増田さんに改めて当時のお話を伺いました。


【お話を伺った方】
福田由季子さん(元会員で千花さんのお母様、以下 福田さん)
福田千花さん(福田さんのお嬢さん 以下 千花さん)
増田勇野さん(元会員)

☆増田勇野さん プロフィール☆
宇宙業界22年目。
筑波宇宙センターにて、有人宇宙分野を中心に研究・開発・運用業務等幅広く経験。
種子島でのロケット射場現場経験を経て、現在は海外衛星部品の品質保証業務を担当。
技術考証として地球外少年少女の描写/表現に協力する等、
業務以外でも宇宙開発に携わっている。

 

対話が生まれるきっかけ

 

―福田さんが増田さんを知ったきっかけは?

福田さん「過去の増田さんのイベントをco-baCHOFUのFacebookグループで見たことがあって、co-ba会員さんに宇宙関連の職業の方がいらっしゃるな、というのが頭の片隅にありました。ある時ふと思い出して、改めて検索したら記事が出てきて「やっぱりそうだ!」と思って、コミュニティマネージャーさんに連絡しました。

そもそも宇宙業界で働く人に出会えるとも思っていなかったので、偶然思い出しただけなのですが、娘に「話聞きたい?」と聞いたら、二つ返事で「聞きたい!」となって(笑)増田さんに繋いでいただきました。

―増田さんが相談に応じられた理由を教えてください。

増田さん)自分が学生の時も、宇宙業界の話を聞く機会がほとんどなく、就職活動に苦労した、という経験がありました。
僕の場合、大学の研究室で宇宙業界にいる人が1人だけいて、その人のおかげで宇宙業界に関する情報を得ることができました。9000人ほどしか就業人口がいないと言われている宇宙業界で、具体的な仕事内容について情報を持っている人に出会える機会は少ないですし、情報を聞けた方が就職活動にも有利、というのは僕も経験していたので、次の世代に繋いでいかなければ、と思って今回お話しさせてもらいました。

実は、大学3年生から社会人2年目にかけて、「認定NPO法人カタリバ」というところで高校生向けの出張授業(キャリア学習プログラム)を支援していたことがあったり、それとは別に「宇宙就活」というイベントで宇宙業界の仕事について学生に話したことがあったりと、学生との対話に慣れていた、というのも肩の力を抜いて引き受けられた理由です。

そもそも職業イメージがわきにくい業界ですので、宇宙業界を目指したいと思ってくださる方がいるのであれば、知るきっかけとして自分を使ってもらえたらなという思いがありました。

 

仕事のリアルを聞く

 

―増田さんは、小さいころから宇宙業界を目指されていたのですか?

増田さん)いいえ。宇宙業界に進みたい、と思ったのは高校3年生半ば、受験する大学を選ばなければならないタイミングでした。理系科目が得意だったのと、車といった身近な機械には興味が湧かず、人とは違った機械を扱う仕事についてみたいな、となると「宇宙関連かな」と思って選びました。

―千花さんが宇宙業界に興味を持った理由を教えてください。

千花さん)幼いころから星座や神話が大好きで、宇宙関連の本を読み漁っていました。
ふんわりと宇宙が好きだったので、幼い頃からそれを職業にしたいと強く思っていたわけではありませんでした。
「宇宙業界に進みたい!」と心に決めたきっかけは、高校2年生の夏に参加した大学のオープンキャンパスでした。研究室紹介があったのですが、その研究室がたまたま「人工衛星を造る」という研究テーマで、それを見て「こういう仕事があるなら就いてみたい」と思って目指しました。もともと理系科目の方が好きだったというのも理由の1つです。

―増田さんにどんな話を聞かれたのですか?

具体的にどんな職業があるか、留学は必要か、大学に入ってからどんなことをすればいいかということを中心に伺いました。
正直、今までのイメージは全部ひっくりかえりました(笑)。宇宙の仕事と言えば宇宙飛行士か宇宙飛行士に関わる仕事くらいしか思い浮かばなかったんです。でもそれ以外にも、例えば衛星通信の業務についている方もいるし、増田さんのようなお仕事の方もいるし、宇宙に関わる仕事も多種多様なんだなということを教えてもらい、一気に視野が広がりました。

―地域の人に相談してみて、どうでしたか?

福田さん)増田さんに話を聞くまでは、宇宙関連の仕事と言えばNASAを目指すしかない!くらいに思い込んでいて。だから、海外留学は必須だと思っていました。
でも、増田さんにお話しを伺って、日本国内でも宇宙に関われる仕事があることが分かり、思っていたより身近に選択肢があるという意味で「ふつう」の仕事なんだな、と知ることができました。本当に目からウロコでした。

相談することに関しては、私自身が経営者という仕事上、誰かに人脈を繋いでもらうことに慣れていたので、今回も気軽にコミュニティマネージャーさんにお願いしたのですが、まさかここまで視野が広がり価値観が変わるとは思っていませんでした。ほんと、娘の人生が大きく変わったんじゃないかと思っています。

 

ターニングポイント

 

―千花さんは、増田さんとのお話を振り返ってどうですか?

千花さん)あの時お話しを伺ってなかったら、今頃とんちんかんなことをしてたんじゃないかと思います。
大学受験に向けて志望理由書を書かねばならなかったので、増田さんに会う前にアウトラインは大体仕上げていました。でも、お話を聞いた後、「これじゃだめだ」と、一から書き直しました。

増田さんにお会いした後は、受験する大学や学科の選び方が全く変わりました。お話を聞いていなければ今入学している学科にはたどり着かなかったと思います。

福田さん)宇宙○○学科などと表現されていれば分かりやすいのですが、そういう学科はすごく少ないのですし、国立大学でないと学べないと思い込んでいました。実際入った学科名も「宇宙」という言葉は入ってないのです。

千花さん)選び方を知らなかったので、宇宙に関する研究室がある大学だけを調べていました。

福田さん)大学選びについては娘にお任せでしたが、私立大学でも宇宙について学べると知って大学の選択肢が広がりました。自分の偏差値を基準に選ぶのではなく、将来の目標である「宇宙業界で役立つ知識を学べる学科かどうか」を基準に選ぶようになりました。

―増田さんの話を伺って、その後の生活に変化はありましたか?

千花さん)まず、受験勉強する意識がすごく変わりました。それまでは「大学に入るために勉強する」という感じでしたが、お話を聞いてからは「この知識、もしかしたら仕事に就いたときに役立つかもしれない」「研究室に入ったときに役立つかもしれない」という気持ちで勉強を頑張れました。

福田さん)そういう大学の選び方をしたので、やる気も違いますし、大学入学試験直前まで成績が伸び続けていました。

千花さん)明確な目標があったので、最後まで頑張れました。
大学に入ってからも、学びたいことの照準が絞れてきたと感じます。「将来の夢のために何を学べばいいか」も意識して勉強に取り組めています。

福田さん)「この研究室に入りたいから、この学科を選びました」って入学早々に担当教授に会いに行ったそうなんです。選択教科を取るのも、「この研究室に入るには、どの教科を取ればいいですか?」と相談したりして。

 

co-ba CHOFUが繋いだもの

 

―最後に一言ずつお願いします

千花さん)無事大学に入れて、宇宙関連の勉強ができていることを、増田さんに直接報告できてよかったです。あの時は、お話しいただきありがとうございました。

福田さん)記事で読むだけでなく先輩の姿を生で見られたことで、全く感じ方が違ったと思います。
コミュニティがあることで知り合える人はいますが、“経営者同士”など同じ属性だったりします。でも、「枠を超えたコミュニティ」との出会いって大事なんだな、と改めて思います。
学校や塾など、年齢で区切られた狭いコミュニティの中だけにいる子どもたちは、将来が伸び悩んでしまうのではと感じています。でも、その枠を超えて、普段会わない大人に出会えることで学ぶことも多いですし、大人も子どもから学ぶことがあると思います。その出会いが、子どもたちの将来を変えることもあると、今回身をもって体験しました。

増田さん)別のコミュニティ同士の交流って、入りやすさ、接しやすさが大事だなと思うのですが、今回co-ba CHOFUが間を繋いでくれたので「co-baにいる人だから大丈夫だろう」という安心感がお互いにあったかと思います。それがco-ba CHOFUという場の価値かなと思います。

千花さんには、最後に1つアドバイスを。大学院に進む場合でも、大学3年4年で一回就職活動はしてみるといいと思います。そこでまた普段とは違うコミュニティの人たちに出会うことも、将来にいつか役立つことがあるかなと思いますよ。

 

インタビューを終えて

 

真ん中に「仕事」を置いて世代を超えたつながりが、一人の若者の未来を応援できたということ。これは、「co-ba CHOFUを通して 豊かにくらし はたらく」というミッションに向けてコミュニティマネージャーたちが日々の小さな振る舞いや働きかけを積み重ねてきたことで起きた「想像を超えて、想像通り」な出来事でもありました。

多様な人がフラットに関われる「仕事軸のコミュニティ」を、これからも調布を土壌として育んでいこう!と私たちも背中を押してもらったインタビューでした。